【大学野球】早大が慶大に先勝で優勝に王手 プロ注目・吉納翼が2本塁打と爆発「あの歓声は死ぬまで絶対に忘れない」
◆東京六大学春季リーグ戦▽最終週第1日 早大8―1慶大(1日・神宮) 早慶戦が3万人の観衆が詰めかける中で行われた。早大が先勝し、勝ち点5の完全優勝へ王手をかけた。吉納翼副将(4年=東邦)が3回に左翼へソロ、6回にバックスクリーンへ3ラン。投げてはエースの伊藤樹投手(3年=仙台育英)が8回1失点の好投でチームに勝利をもたらした。2日の2回戦に勝てば、2020年秋以来、7季ぶりの優勝が決まる。 思い切り振り抜いた打球はバックスクリーンへ一直線。2本目は完璧だった。「あの歓声は僕が死ぬまで絶対に忘れない」と打った本人が言うほど、スタンドはこの日一番の盛り上がりだった。ホームを踏みベンチに戻った吉納を、小宮山悟監督(58)は力強くハイタッチで迎えた。 1本目は3回の第2打席。外角のスライダーをファウルにしようとしたが、風に乗りスタンドまで届いた。代名詞である逆方向の一発で、力が抜けた。 2本目の打席前、「この春一番の集中力でいけ」と背中を押した指揮官はここまで本来の力を発揮できていなかった吉納に対し「最初からやれよ!」とご機嫌だった。これで通算本塁打は9本となり、明大・宗山塁を抜き現役単独トップに浮上。「あまり意識していなかったけど、長打力が持ち味で結果を残したかったから単純にうれしい」と振り返った。 吉納は、尾瀬雄大中堅手(3年=帝京)から投手について助言を受けていた。「左投手にしてはシュートする真っすぐ」という言葉を信じ、真ん中にきた球を狙い通り仕留めた。年下で面倒をよく見ている尾瀬には「やっぱり持っているね、打てると思ったよ」と友達のように声を掛けられた。 前日も「ここぞの場面で打つために後悔、やり残しがないように」と人一倍集中して練習に取り組んでいた吉納。印出太一主将(4年=中京大中京)が「(ここまで)彼のなかでは絶対満足できるような数字ではない。でも結局、どこで打つか。ここだというところで打ってくれればそれ以上の価値のある一打はない。やってくれると思う」と言及していたが、キャプテンも納得の2発だ。 吉納は「優勝をつかむだけ」と短く意気込んだ。新・早慶戦男が2戦目も打って優勝を決める。(臼井 恭香)
報知新聞社