オリックス・山下舜平大 数値から分かる復活、進化の理由 投球練習でトップの位置入念に確認
オリックス・山下舜平大投手(22)が8月の再昇格後、今季初勝利を含む2連勝と好調だ。8月28日・ソフトバンク戦(長崎)では自己最速を更新する161キロを計測。変貌した姿に、中嶋監督もうなずいた。復活、進化の理由は数値にも明らかに表れていた。(データはJapan Baseball Data) ◇ ◇ 破壊力満点の直球に、キレ味抜群のカーブやフォークで手玉に取る。シーズン後半戦に入り、昨季の新人王右腕・山下が輝きを取り戻してきた。 7回2安打1失点で勝利した8月28日・ソフトバンク戦では、テレビ中継の球速表示で161キロを計時。これまでの自己最速は昨季と今季の2度計測していた160キロだったが、長崎の地で1キロ球速を更新した。 4者連続三振を含む7奪三振の快投。中嶋監督は「(以前と)真っすぐの角度が違いますし、カーブも操れていることは間違いない。僕らが求めていたのはこういう形。本当によく戻した」と、変貌ぶりを感じていた。 それはデータにもはっきりと表れている。前回7月29日に登録抹消される前までは先発や中継ぎで8試合に登板し、0勝4敗、防御率6・38。直球のストライク率が66%、空振り率が8・4%、コーナー(を突く)率が2・6%だった。 しかし、8月の再昇格後はストライク率68・5%、空振り率11・7%、コーナー率9・9%と明らかに良化した。昨季は空振り率11・2%。本来の姿に近づいたといっても過言ではない。山下自身も「8月18日の日本ハム戦から感覚は良かった。今まではボールが操れていない状態だったので。真っすぐ自体が良かった」と手応えを明かす。 変化球も前回8登板ではカーブのストライク率54・7%、空振り率4・3%、コーナー率8・6%、フォークのストライク率44・1%、空振り率19・1%、コーナー率2・9%だったが、再昇格後は数値が向上した。 カーブのストライク率64・3%、空振り率14・3%と10%以上も上げ、フォークもストライク率58・3%、空振り率20・8%、コーナー率8・3%と狙い通りの投球ができる確率が上がった。 開幕ローテ入りした春先から未勝利で「調子の上がらない原因がなかなかつかめなかったので、時間がかかってしまった」と山下。キャッチボールやブルペンでの投球練習ではトップの位置を入念に確認するなど「一番、自分の腕の振りやすいところで投げる」再現性を高めるために、最善の位置を探してきた。 「(腰などの)ケガもありましたし、登板期間も空いたりしてなかなか難しいところもあった。試行錯誤しながらまだやっている最中ではある。1勝、2勝と積み上げられていることは間違いなく良い方向に来ると思う。どれだけ良くなっても、もっと良くなることを目指して頑張りたい」 飽くなき探求心を持つ近未来のエース。さらなる進化を目指し、己の技量を磨いていく。(デイリースポーツ・関谷文哉)