一見きつい? 松下洸平”牧野”の「大人げなさ」が子どもたちの信頼を得る理由とは?『放課後カルテ』第3話考察レビュー
寄り添うことの難しさ
直明についても「体だけじゃない。心だって悪気のない人に傷つけられるの」と涙ながらに漏らす環に牧野は「あなたが今まで必死に守ってきたから、今の直明はある」と同調する。 常に不安を抱えながら息子を大事に育ててきた母親を決して否定することなく、「守っても守りすぎることはない」と伝える牧野からは寄り添う優しさを感じさせる。 一方で、冴島の担任教師の篠谷(森川葵)は「なんで牧野先生なの?」と不満顔。 自分も冴島を気にかけていたはず、何かできると思っていたはずと納得いかない様子だった。子供たちに寄り添いたいという彼女の思いは決して間違ってはいないはずだが、すべての問題を抱えきれると考えているならそれは誤りだ。 牧野は「そういうところなんじゃないですか」と濁したが、牧野にしても子供を時に突き放したり、家族と対話させることによって問題の解決を促している。寄り添うとはすべてつきっきりになることではなく、温かく見守ることなのではないだろうか。 『放課後カルテ』は児童との向き合い方を通して、牧野や篠谷とともに大人も学ぶべき点が多いと改めて気づかせてくれる作品となっている。 【著者プロフィール:まっつ】 1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。
まっつ