一見きつい? 松下洸平”牧野”の「大人げなさ」が子どもたちの信頼を得る理由とは?『放課後カルテ』第3話考察レビュー
松下洸平主演のドラマ『放課後カルテ』(日本テレビ系)が放送中。本作は、小学校に赴任した口も態度も悪い小児科医が、類稀なる観察眼で児童の異変に気付き、未来へ向かう子どもたちの背中を押す保険室ヒューマンコメディ。今回は第3話のレビューをお届けする。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】松下洸平がイケメン過ぎる…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『放課後カルテ』劇中カット一覧
牧野の”大人げなさ”が信頼を呼ぶ
「大人げない」ってどういうことかとよく考える。 子供が大人を責める時などに使われる言葉で、意味を調べると「大人としての思慮分別が欠けていること」とある。 『放課後カルテ』(日本テレビ系)の牧野(松下洸平)は無愛想で、児童からも怖がられるなど大人げない要素も少なくない。だが、その一方で“大人げなさ”が子供からの信頼を得られることもよくわかる。 牧野(松下洸平)は小児科医で、現在は小学校の保健室の先生として勤務するが、日常的な会話から必要以上に子供目線に合わせることはない。自分の元へ駆け寄ってくる元患者・冴島直明(土屋陽翔)を「走るな」と叱ったり、仕事について「楽しいとか楽しくないとか、そういうものではない」と伝えるなど、小学1年生と話しているとは思えない言葉選びを見せる。 子供は素直とよく言うが、それ以上に大人の嘘や建前に敏感だと思う。牧野は一見きつい言葉遣いに見えるが、だからこそ子供は牧野から本音を感じることができるのかもしれない。 大人の嘘のない言葉を信頼し、心を開いていくのは直明だけではなく、姉の冴島啓(岡本望来)も同様である。
牧野の言葉が勇気をくれる
冴島家で、細心の注意が払われるのは病気がちな直明だ。母・環(ソニン)は息子の健康を何よりも優先し、長い入院生活を終えた後も目を離さないという姿勢が見て取れる。 必然的に、啓は自分がしっかり者の姉でなければならないという思いを抱いているはずだが、彼女もまだ小学6年生の子供。弟の面倒も見て、なおかつ自分の学校生活も問題なく送って当たり前と家族から見られるのはなかなかにしんどいはずだ。 そんな彼女が家を飛び出して向かった先は牧野の元だった。弟のことについて相談する啓に対して、「なぜそれを俺に言う」と返す牧野はやはりドライだが、それも自分ではなく、彼女自身が親と話し合うことが解決に向かうと知っているから。 「なんで私先生にこんな話してんだろ」と啓は自問自答するが、心のどこかで牧野は信頼できる大人だと見抜いているのだろう。「直明の病気背負えると思うか? お前の責任なわけがない」という言葉は啓に勇気を与え、同様の境遇にある子供たちの心も明るく照らす。 また、母・環との牧野の向き合い方も見事だった。娘が姿を消してもどこか冷ややかで、見つかったという報告を聞いても表情を動かさない姿は冷たい母親にも見えてしまう。そんな母親を牧野は叱るわけでもなく、「冴島啓はとんでもない問題児ですよ」と娘からも目を離さないでほしいということを伝えるのだった。