中国の習近平主席、「歴史に逆行する行為」警告-トランプ関税けん制
(ブルームバーグ): 中国の習近平国家主席は、米大統領選でのドナルド・トランプ氏勝利以降初の主要な演説で、グローバル化を巻き戻そうとする取り組みをけん制した。トランプ氏は中国からの輸入品に最大60%の関税を賦課すると警告している。
中国の王文濤商務相がアジア太平洋経済協力会議(APEC)最高経営責任者(CEO)サミットで15日に代読した演説によると、習氏は「さまざまな口実で経済協力を阻害し、相互依存の世界を分断することは、歴史に逆行する行為だ」と指摘した。会議はペルーのリマで開催されている。
「世界は混乱と変化の新たな時代に入った」とし、「一国主義と保護主義が広がりつつあり、世界経済の分断が深刻化している。経済のグローバル化は厳しい試練に直面している」と続けた。
APECおよびブラジルで開催される20カ国・地域(G20)の両首脳会議に出席する習氏は、自らが経済グローバル化の擁護者だと示したい考えだ。同氏はトランプ氏の1期目にもこの戦略を採った。トランプ氏が掲げる関税は、中国の脆弱(ぜいじゃく)な景気回復を妨げるリスクがある。
習氏は中国の2024年成長率目標である5%前後の達成に「完全な自信」を表明。景気刺激策を打ち出した後に景気が持ち直し始めたことが、10月のデータで示された。消費の伸びが工業生産にほぼ追いついており、不動産の低迷や需要の弱さ、物価下落に見舞われている同国にとって明るい材料となっている。
習氏はまた、いわゆる「グローバルサウス(新興・途上国)」が世界の問題に関して発言力を増し、全ての国が発展における公平な権利と機会を享受するべきだと呼びかけた。
「われわれは経済グローバル化の発展を正しく導く必要がある。一部の国が覇権を握ることを許す古い道を歩んではならない」と習氏は演説で主張。「経済のグローバル化を推進し、よりポジティブな効果を引き出すとともに、よりダイナミックで包摂的、持続可能な新たな段階へと進む必要がある」と論じた。