望まない妊娠②》誰にも知られたくない…孤独で一人で産むしかないと考える全ての妊婦さんへ
■妊娠は女性だけの自己責任なのか
妊娠は女性だけでは実現せず、必ずパートナーが存在する。中には暴力を受けたり、女性が断れない状況での性行為があり、妊娠する場合もある。避妊をしたつもりなのに妊娠してしまうこともある。思いがけない妊娠は起こるものであり、「自己責任」だとして、その責任を女性に向けるのではなく、「妊娠した女性の、健康や人権を守れる社会をつくることが必要だ」と土屋さんは話す。 10代などの場合、自分たちが妊娠できる体・妊娠させる体だという自覚や知識がない中で「思いがけない妊娠」が起きてしまうことがあるが、「性行為をすれば、10代でも妊娠すること。妊娠した時には、二人の問題として一緒に考えるということを、学校教育の中でも伝えていくことが必要ではないか」と土屋さんは話す。 女性にとっては、「相手が考えてくれない」「経済的にも協力してくれない」「自分は関係ないと言われた」、こういった状況が大きな不安や葛藤につながる。妊娠がわかった場合、たとえ中学生や高校生でも「妊娠」という現実に向き合うことは重要で、女性だけにその問題を押し付けることは、相手を傷つけ、人生を大きく変えることになるのだということを考えておく必要があるという。もちろん、その予防として避妊についても学ぶことは必要だが、妊娠に直面した時には「相談先はある、親や学校に知られたくないからと抱えこむのではなく相談して」「困ったことを話してくれれば怒ったりせず、一緒に考えるよ」といったメッセージを届ける必要を感じているという。
■妊娠したのでは?と"今困っている人"へ
助産師でもある土屋さんに、「今現在、妊娠しているかもしれない」と心配や不安を抱えている方に、どのようなメッセージを伝えたいか尋ねた。 相談者の中には、「一度相談をしたけれどやっぱり心配」「生理は来たけど、妊娠していないか不安」という人もいるという。相談をして「その時は大丈夫だと思ったけれど、しばらくすると不安になってきた」「ネット検索をしたら、いろいろな情報が出てきて、また心配になってきてしまった」と言う人には、何度でも相談していいよ、何回でも聞くよとメッセージを送っているという。中には、性行為をする度に妊娠の不安にさいなまれ、それなら性行為をしなければいいのにしてしまうのは自分自身が弱いからだ、と話してくるケースもあるという。 土屋さんは「人と人とのふれあいとして性行為をすることは悪いことではなく、生きる上で大切なこと。それでも『妊娠したかもしれない』という不安を抱えてしまう場合は、どうすれば、少しでも安心できるかを、一緒に考えることも大事なことなので、遠慮しないで相談してきてもらえたら」と話す。