楽天モバイル「全キャリア最安」うたう最強家族プログラム&月30GB無料の株主優待で契約者獲得に再びアクセル。過去の反省踏まえブレーキも上手に(石野純也)
新たに家族割引の「最強家族プログラム」を始める楽天モバイル。それぞれ割り引かれる料金は110円と少なめですが、導入の狙いは、割引額というより、ユーザーの心理的なハードルを下げるところにあるようです。 楽天の三木谷氏(写真) 楽天グループの会長兼社長 三木谷浩史は、自身が楽天モバイルを勧めた際に「他社に家族割引があるから……」という理由でMNPを躊躇されることがあったといいます。 三木谷氏のダイレクト営業をスパッと断る度胸もすごいなと思いつつ、家族割引は体のいい言い訳にされている感がなきにしもあらずですが、家族で契約していると心理的に他社に移りづらくなるのは事実。 自分だけが抜けたたために、配偶者や子ども、さらには両親などの料金が上がってしまったとなると、後ろめたい気持ちになります。 三木谷氏自身が「それがなくてもうちの方が安い」とぼやいていたように、実際には使い放題の料金プランで比べた場合、楽天モバイルは家族割なしでもリーズナブルではありますが、家族の説得が面倒というのは分からないでもありません。 「みんなで入れば110円引きになる」という、エクスキューズ的な何かがほしかったと言えるでしょう。三木谷氏が「日本人にとっては重要」と評していたのは、そのためです。 割引額が110円と低いのは、これ以上料金を下げる余地が少ないことに加え、金額自体が問題になるのではないと見越しているからと言えるでしょう。楽天モバイルにしようかどうか迷っている人の背中を押すためのきっかけと捉えれば、理解はしやすいかもしれません。 ただ、家族割引の適用条件は非常にシンプル。オンライン上で代表者がグループを作成し、そのURLから申し込むだけでOK。同一住所である必要もなく、名字が同じであれば、家族と見なされてしまうようです。 楽天モバイルは「明らかに家族でない場合はお声がけする可能性もある」としていましたが、どうやって見分けるのかは明かされていません。鈴木さんとか、田中さんは割引が組みやすそうですね。 他社もそのあたりは比較的緩く、例えばソフトバンクの場合、シェアハウスで一緒に住んでいるだけで家族と認められます。一方で、楽天モバイルのそれは、名字を判別しているだけ。証明書のようなものも不要なため、ブッチギリで緩いと言えるかもしれません。 逆に、一緒に住んでいても名字が違うとNGになってしまうのがこの方式の難点。同性パートナーや事実婚はもちろん、パートナー側が改姓している場合はその両親とも割引が組めません。このあたりの適用条件は、今後広げていく必要がありそうです。 最強家族プログラムの導入で、家族単位の獲得を目指す楽天モバイルですが、契約者数の増加には弾みがついています。楽天市場の出店者を中心とした法人契約が好調なためです。 昨年後半から伸びが加速し、現在は600万契約を超えています。一時は純減に見舞われていただけに、その勢いを取り戻しつつあることがうかがえます。