宿泊施設の約46%が“迷惑客の対応”に苦慮した経験アリ…12月13日から変更となる「旅館業法」のポイントを解説
青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。12月10日(日)の放送では、厚生労働省 健康・生活衛生局 生活衛生課 課長補佐の竹中良(たけなか・りょう)さんを迎えて、「誰もが宿泊施設で気持ちよく過ごせるように! 旅館業法が変わります」をテーマに話を伺いました。
◆12月13日から変更となる「旅館業法」
旅館業法とは、ホテルや旅館などの健全な運営を図るとともに、施設の衛生水準を保ち、国民生活を向上させるため、1948年に制定された法律で、「ホテルや旅館の営業者は、宿泊拒否事由に該当する場合を除き、宿泊を拒んではならない」というルールが定められています。また、制定時点での宿泊拒否事由とは“伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるとき”などとされてきました。 一方、近年は明らかに度を超えたサービスや対応が難しいことを繰り返し要求する“迷惑客”が少なくありません。全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会が昨年実施した調査によると、「いわゆる迷惑客から、過重な負担になるような対応困難なものを繰り返し求められて、対応に苦慮した事例があった」と回答した宿泊施設は、全体の約46%でした。 こうした背景もあり、この度、旅館業法が改正され、12月13日(水)から施行されることになりました。今回の改正ポイントは「カスタマーハラスメントへの対応」と「感染症防止対策の充実」の2つです。 1つ目の「カスタマーハラスメントへの対応」について、竹中さんは「新たに宿泊拒否事由が追加され、カスタマーハラスメントに当たる特定の要求をおこなう迷惑客に対して、ホテルや旅館の営業者は、宿泊を拒むことができるようになります」と解説します。 “カスタマーハラスメントに当たる特定の要求”とは、宿泊施設にとって過重な負担となり、他の宿泊客に対する宿泊サービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求を繰り返す行為です。 例えば、過剰なサービスを繰り返し要求する場合、宿泊サービスに従事する従業員に対して土下座を繰り返し求める場合などのほか、対面や電話、メールなどにより、長時間にわたって不当な要求を繰り返しおこなう場合、要求する内容に正当性があっても、暴力や暴言など要求方法に問題がある行為を繰り返しおこなう場合も、宿泊拒否事由に該当します。 こうした一連の応じられない要求をホテルや旅館が求められた場合、まずは宿泊客に「そうした要求には応じられないが、宿泊自体は受け入れる」ということを説明します。それでもなお、同じ要求を求められた場合は、宿泊を拒むことができます。 ただし、「フロントなどで筆談でのコミュニケーションを求めること」や「車椅子利用者がベッドに移動する際に介助を求めること」など、障がいのある方が、ホテルや旅館で安心して快適な時間を過ごせるように、ホテルや旅館に対して合理的な配慮の提供を求めることは、新しい宿泊拒否事由に該当しません。