いよいよ「AI PC」革命が始まる、Copilot+ PCが続々発売
2024年6月、モバイルPCとしては初めて、生成AIなどをオンデバイスでローカル処理できる「AI PC」が、エイサー、エイスース、デル、HP、レノボ、サムスンやOEMメーカーから発売された。搭載されているAIはマイクロソフトのCopilot+、採用されているSoC(システム・オン・チップ)はQualcomm(クアルコム)のSnapdragon X Elite SoCsだ。 さらに11月には、AMDのAI 300シリーズプロセッサーと、インテルのSoCであるCore Ultra Series 2が搭載されたマイクロソフトCopilot対応モバイルPCも、続々と発売される。2025年に入ってからは、年明けの早い時期に、単体GPU(dGPU)を搭載したデスクトップPCとモバイルPCの両方についても、マイクロソフトがサポートすることになると、コンサルティング企業Tirias Researchは見ている。しかし、話はここで終わらない。 ■Copilot+ PCとは何か マイクロソフトの定義によれば、Copilot+ PCの構成要件は、メインメモリが16GB以上、SSDが256GB以上だ。さらに、モバイル向けSoC内部には、40TOPS(1秒間に40兆回の演算が可能)以上のAI処理性能をもつ内臓NPU(AI処理に特化したプロセッサーユニット)が搭載されていなければならない。 メモリとストレージの要件は、システム構成のオプションにすぎない。一方、SoCについては、オンデバイスでのAI処理性能が必要なだけでなく、マイクロソフトも特定のNPU向けにソフトウェアサポートを提供しなければならないという重要な要件がある。Tirias researchはこれらを踏まえて、生産性を向上させる「プロダクティビティAI PC」と位置付けている。なぜなら、AI処理エンジンとしてのdGPUに対応していないからだ。しかし、dGPU対応が追加されれば、こうした状況は変わるだろう。 マイクロソフトがdGPUへの対応を追加すれば、dGPUを搭載した新しいPCが、Copilot+ PCとして分類されるのはもちろん、dGPUがすでに搭載されており、動画のアップスケーリングなど、AIを使ったさまざまな作業を行える多数のノートPCとデスクトップPCも、Copilot+ PCと名乗れるようになる。 さらに、Tirias Researchが「エンスージアストAI PC」と呼ぶ、パワーユーザー向けのAI PCカテゴリーも、新たに誕生する。エンスージアストAI PCが、グラフィックスと処理能力の向上を可能にするようにdGPUを活用すれば、AIによる作業の限界はケタ違いに拡大し、よりパワフルな従来型AI及び生成AIアプリケーションへのドアが開かれるだろう。 ■サードパーティーもアプリケーションを開発 ソフトウェアに関しては、AI対応アプリケーションを手がけるサードパーティー開発者が生まれつつある。スマートフォンで見られるのと同様に、ファーストパーティー開発者とみなされるPCのOEMメーカーの多くは、Copilot+ PCを利用して、オンデバイスで機能するAIアプリケーションを開発・提供している。しかし、スマートフォンのエコシステムと同様に、独立系ソフトウェアベンター(ISV)が、Copilot+ PCの能力を高めるべく、既存アプリケーションを修正して、新たなアプリケーションを開発中だ。