「市場の格差が拡大」 長嶋修が語る「2025年不動産市場の行方と提言」 注目は「セカンドベスト」の不動産
そもそもこうしたエリアは、一戸建てにもマンションにも価格高騰の波は届いていない。不動産価格の上昇が始まった当時からすでに足並みは揃っていなかったものの、市場の二極化、三極化がさらに拡大し始めたのが2024年だったといえるだろう。 ■2025年、注目の「セカンドベスト」とは インフレや金利上昇は、“強い不動産”をますます強くし、“弱い不動産”をさらに弱める一因となる。したがって、2025年はさらに市場の格差が拡大することになるだろう。
“強い不動産”とは、言わずもがな都心・駅前・駅近・大規模・タワーに代表される好条件の不動産ということになってくるが、2025年は「セカンドベスト」の不動産も注目される。 「セカンドベスト」とは、ベストな立地に次いで価値が維持されると見られるエリアを指す。具体的には、首都圏でいえば23区の駅徒歩10分から15分圏内に加え、千葉・神奈川・埼玉の中でも国道16号圏内の徒歩7分から10分圏内のエリアになってくるだろう。
こうしたエリアは、都心や駅近の立地に不動産を持てない人の需要が流れてきていることから、中長期的にも大きく価値が落ちることはないとものと見られる。 ただし、中長期的な視点を持つのであれば、立地以外の要素にも目を向けたいところだ。 2024年10月には火災保険料の参考純率が引き上げられ、水災補償の保険料はリスクの程度に応じて細分化する改定が加えられた。近い将来、保険料だけでなく、不動産の担保評価にも自然災害リスクが影響することになるだろう。
加えて、マンションは管理状態にも留意したい。すでに管理状態が取引価格に影響している事例は見られているし、管理計画認定制度やマンション管理適性評価制度の広まりなどもあって、今後一層、マンション管理の重要性が認知されていくはずだ。 2025年4月からは、すべての新築住宅に省エネ基準適合が義務づけられることから、省エネ性能をはじめとする住宅性能が価値を左右することにもなっていくだろう。 ■資産価値の維持・向上をどこまで求めるか