「ネグレクト、いじめ、不登校」44歳・モデル美元が語る、その「壮絶な」子ども時代
育児とは、自分の中にいる「子ども時代の自分」に寄り添ってあげることでもある
わが子を育てる過程で、空腹で孤独で悲しかった子ども時代の自分の記憶を、温かくておなかもいっぱいで清潔で幸福な子どもへと書き換えさせてもらっているのですね。 「また、私自身が母親になったことで、幼い子どもを残して先立つことが母親にとっていかにつらく悔しいかを、以前よりもリアルに想像できるようになりました」 幼いころの美元さんは、もし自分が「つらい、苦しい、助けて」と感じると、天国のお母さまに気持ちが伝わり、自責の念を抱かせてしまうことになると考えていたそうです。なので、つらいことが起きても「これはお母さんからのギフト、学びのために用意してくれた試練」と理由づけをして耐えていました。 「でも、それはそう信じる以外に耐える方法がなかったから。普段からつらいと口にせず、涙もあまり見せないので、『裕子(本名)は強いね』と言われていました。また、自分でも『自分は強い』と思っていました」 強がったり、強いフリをしているうちに、いつしか周囲に弱い部分を見せられなくなったり、甘えることができなくなる例は多々あると思います。 「母からはいつだって『甘えん坊で泣き虫ね』と言われていたんです。誰も助けてくれない日々が続く中で、傷つかないようにするために『自分は強い』と思い込んでいたのですね」 先日、お友達に紹介されて誘導瞑想というセラピーのセッションを受けたところ、心の中にいる内なる自分「インナーチャイルド」は、涙を流しながら「一人にしないで、行かないで」と口にしたそう。 「自分でも驚きました。こうした子ども時代のトラウマや傷って、きっと一生をかけて癒やしていくのでしょうね。44歳になってもまだ、母を亡くした9歳のころの自分は私の中にいるのだと思います。娘のおかげで、『私って無理してたんだな』とやっと認めて、口にできるようになってきました」 2話では子ども時代のお話を伺いました。【つづく3話め】では子ども時代の記憶を辿り、お母さまとのお別れを伺います。
オトナサローネ編集部 井一美穂