人口減、防災どうする 和歌山県知事と紀南の市町村長が懇談
和歌山県の岸本周平知事と日高郡以南17市町村長が7日、田辺市役所で来年9月の完成を目指す県の新総合計画について意見を交わした。市町村長からは人口減少や防災、獣害の対策などを求める声が上がった。 【地域内外 つなぐ人に 和歌山県の人材育成講座開始の記事はこちら】 新総合計画は2040年ごろを展望した長期構想と足元の5年間(26~30年度)の主な施策をまとめた実施計画の二重構造。人口減少や地球温暖化、デジタル活用の加速など社会の潮流への対応に焦点を絞り、未来起点で描くとしている。 田辺市の真砂充敏市長は「市では人口減少を織り込み、関係人口の増加などに取り組んできた。ただ、減少にあらがう具体策も要る。例えば教育と医療。学びのフィールドとして学生を呼び込んだり、出産の環境を整えるため産婦人科医を確保したりといった施策も必要では」と問いかけた。 岸本知事は「同感で、人口減を食い止めるのに全力を尽くす。子育て世代の支援や学校給食無償化もその一環」と回答した。 那智勝浦町の堀順一郎町長は「能登半島地震から半島の救助、救援の難しさを実感した。ヘリポートの整備など加速化してほしい」と要望した。また、県内でクマの出没が増えており、複数の首長が「狩猟者や住民の安全確保が課題」と対応を求めた。 県側は「防災は各団体だけでは対応できない。受援体制の強化は重要。能登半島地震の検証を進めている」「環境省と紀伊半島3県でクマの個体調査をしている。人命第一で速やかに対応できるよう検討したい」と考えを示した。 岸本知事は「今日は問題を共有できた。予算は厳しいが政策にめりはりをつけ対応する。給食費無償化は、政府が取り組むまで歯を食いしばって続けたい。技術職員不足の声もあったが、県と市町村の二重構造を変えたり、広域で対応したり、少人数でも行政サービスの質を落とさない取り組みも考えたい」と話した。
紀伊民報