ディープフェイク制作会社の社長の顔が、詐欺動画に利用される皮肉
最新技術による最新の詐欺発生。 AIを使ったディープ・フェイクは、国家元首の姿で国民を欺いたり有名人の顔でポルノ動画が出回るなど、迷惑なことが多いイメージがあります。 一方で世の中には、自社の広告塔としてディープ・フェイクで生成したアバターを使う企業もあるようです。
フェイクになったCEO
このたび、アメリカ西海岸に拠点を置くHeyGen社CEOの姿が悪用され、ウソの投資動画に案内人として登場したとのこと。 動画ではChatGPTを使い、ソフトをダウンロードして暗号通貨を振り込むよう誘導します。しかしこのチュートリアルは、マルウェアを使って自動的に振込みさせる詐欺なんです。
仮想通貨が毎日ザックザク
Web3開発者を謳うチャオという人物が、プライベートのチャンネルにて「無料で毎日収入を得る方法を教えますよ」と始まるこの動画。 ChatGPTでボットを作るコーディングを生成し、いくつかのWebサービスにコピペをするなどの往復があり、仮想通貨専用のお財布アプリと連携させるよう促します。お財布に仮想通貨をたくさん入金すれば、それに応じたリターンがあるとも話しています。 最後には「近い内にこの動画は削除します。テレグラムでメッセージをください」なんて話もありますが…テレグラムは日本の闇バイトで使われるアプリなので、ワイドショーやニュース番組でご存知の方も少なくないでしょう。
実行までのハードルが高すぎる
ザっと動画を見た感じ、チュートリアルの通りにすれば完了のでしょうけども、素人にはハードルが高すぎますよね。 お財布アプリもアカウントを作る必要がありますし、そこに仮想通貨を入金する手間も。さらに通貨の移動にはガス・フィーと呼ばれる手数料も発生します。 コメントにはその難しさから「できないよ」という声や、「やってみたら為替レートが値下がりした」、「作業中にPCが落ちた」、お財布アプリや入金方法が分からない、などが散見されます。 その反面、バッチリ騙されて作業を完了させた人たちも報告のコメント投稿しています。サクラの可能性もありますけどね。
リアルな『ブラック・ミラー』
しかしフェイク・アバターがフェイクの投資に使われるなんて、なかなかの『ブラック・ミラー』(Netflixのディストピア・ドラマ)ですよね。 フェイク・アバターがあまりにもリアルですが、皆さんもご注意あれ。 Source: YouTube, HeyGen via Boing Boing
岡本玄介