尹大統領（右）と金龍顕（キム・ヨンヒョン）前国防部長官＝（聯合ニュース）

【ソウル聯合ニュース】韓国の検察は27日、尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領による「非常戒厳」宣言を主導したとして、内乱重要任務従事や職権乱用権利行使妨害などの罪で金龍顕（キム・ヨンヒョン）前国防部長官を起訴した。起訴状には戒厳当日の尹大統領の指示内容が多数含まれた。　 　検察によると、尹大統領は非常戒厳の当日、全国の警察組織トップの趙志浩（チョ・ジホ）警察庁長とソウル警察庁トップの金峰埴（キム・ボンシク）同庁長に対し、国会への人の出入りを制限するよう指示した。 　また趙氏に何度も電話をかけ、「国会に入ろうとする国会議員たちは皆、布告令違反だ。全員逮捕しろ」と述べた。このような指示にもかかわらず議員らが国会内に入ると、尹大統領は国会に出動した軍関係者に連絡し、非常戒厳の解除要求決議案の採決を妨害するよう命じた。 　尹大統領はまた、国会周辺で現場を指揮していた李鎮雨（イ・ジヌ）首都防衛司令官に電話をかけ、本会議場に行き、議員らを4人で1人ずつ担いで来るよう兵士らに命じるよう指示し、「銃を撃ってでもドアを壊して入り、（議員らを）引っ張り出せ」と指示したという。 　国会に出動していた郭種根（クァク・ジョングン）陸軍特殊戦司令官にも連絡し、国会の戒厳解除要求決議案の可決に必要な定足数が満たされていないようだから早く国会の中に入れと指示し、「ドアを斧で壊してでも中に入って全員引っ張り出せ」などの指示をしたという。 　尹大統領は国会で戒厳解除要求決議案が可決された後も李氏に電話し、「解除されたとしても私が2回、3回と戒厳令を宣布すれば済むから、（指示を）続けて進行しろ」と話したことが分かった。 　また検察は尹大統領が最大野党「共に民主党」の李在明（イ・ジェミョン）代表など主な人物に対する逮捕も直接指示したと判断した。尹大統領が戒厳当日、情報機関、国家情報院（国情院）のホン・ジャンウォン第1次長（当時）に自ら連絡し、「これを機にすべて捕まえろ」などと指示し、防諜司令部と協力するよう命じたという。 　検察は、尹大統領が少なくとも今年3月ごろから非常戒厳を念頭に置いて、金氏などと数回にわたって話し合った事実を確認したと明らかにした。 　この過程で尹大統領は、戦時や国家事変の非常時に、大統領などが国民の権利や義務に関する規定の一部または全部を停止できる権限「非常大権」でしか現状を切り抜ける方法がないと述べたほか、「非常措置でなければ国を正常化する方法がない」、「特段の対策が必要だ」などの発言を何度もしたという。 　また尹大統領は先月30日、金氏や呂寅兄（ヨ・インヒョン）国軍防諜司令官と面会し、「国を正すためには、大統領が憲法上持っている非常措置権、戒厳のようなことをするしかない」と述べた。 　今月1日には金氏に対し、「非常戒厳をすることになれば兵力動員をどのようにできるか」、「戒厳をすることになれば必要なことは何か」と聞いていたことが分かった。 　検察はこのような尹大統領の行為が憲法機関である国会、国会議員、選管委を強圧し権能行使を不可能にした「国憲紊乱（びんらん）」に該当するとみなし、内乱罪が適用されると判断した。