最悪なら膝下切断、たこの小さな傷や巻き爪に気づかないと… 異変を見つけて「足病変」を予防するには? フットケアの日に考える
■「自分の足で歩けることは健康にとって重要」
竹内さんは、自分の足で歩けることは糖尿病や要介護状態の予防につながるなど健康にとって重要と指摘。さらに「歩いて風呂やトイレに行くことは自尊心を保つ上で大切。歩いて人と関わりを持つことは幸福度を上げるとも言われる」とする。そのために重視するのがセルフケアだ。
これを「5つのほ」(保清・保湿・保護・補助・歩行)として紹介している。足をきれいに洗って保湿し(保清、保湿)、自分に合った靴を正しく履き正しく爪を切る(保護)、足の柔軟性や血流を保つためにマッサージやストレッチ、筋トレをする(補助運動)ことで、歩行機能低下を防ごう―という指導を行っている。竹内さんは診療経験から、これらを実践している人たちは「何年たってもしっかり歩けている印象がある」と話し、「歯磨き同様、フットケアも全ての人に必要」と訴えている。
■傷ができても気付きにくく 糖尿病患者はより注意を
一方、糖尿病患者などはより一層フットケアに気を配る必要がある。 「足を他人に見せることに抵抗がある人もいるが、ちゅうちょしないでほしい」と、相沢病院(松本市)の糖尿病看護認定看護師、石津美紀・医療サービスセンター看護科長(59)は話す。糖尿病に多い合併症の一つに神経障害がある。感覚が鈍くなったりしびれたりして傷ができても気付きにくく、足病変が起こりやすくなる。また、高血糖時は白血球の一種でウイルスや細菌を食べる好中球の機能も低下。こうしたことから傷にばい菌が入ると感染を起こしやすく、発見も遅れやすい。
初めは巻き爪やたこなど小さな傷でも、気付かないまま重症化すると最悪の場合、足の指や膝下などの切断に至ることもある。そこで同病院では血流や感覚障害の異常、傷の兆候を発見して足病変の予防・早期治療につなげるフットケアに力を入れている。
■「足病変から糖尿病が分かることは珍しくない」
同病院では以前、靴擦れでできた水ぶくれが破れて炎症がひどくなったが気付かず、発熱してようやく受診し入院となったケースがあった。血液検査で、糖尿病と診断された。石津さんは「足病変から糖尿病が分かることは珍しくない」と強調する。