【大学野球】明大・中山琉唯の代打バースデー弾で優勝へ望みつなぐ 田中監督も最敬礼
◆東京六大学春季リーグ戦第7週第3日▽明大4―2法大(27日・神宮) 明大が法大に逆転勝ちで、優勝への望みをつないだ。2―2の同点で迎えた8回1死二塁、代打の副将・中山琉唯(るい、4年=常総学院)が決勝の左越え2ランを放った。この結果、慶大の優勝の可能性が消滅。優勝の可能性は早明の2校に絞られ、第8週の早慶戦で早大が勝ち点を奪えば優勝、慶大が連勝すれば明大が優勝、慶大が2勝1敗なら早明による優勝決定戦(6月5日午前11時・神宮)が行われることになった。 誰もがこの一打を待ち望んでいた。中山が法大・吉鶴翔瑛(4年=木更津総合)の3球目、低めのスライダーをすくいあげる。「まさか入るとは思わなくて。越えてくれと思っていました」と祈るように見つめた打球はぐんぐん伸び、左翼スタンドに飛び込んだ。土壇場で起死回生の勝ち越し2ラン。出迎えた田中武弘監督(63)は帽子を取り最敬礼。中山を強く抱きしめた。副将の力強いひと振りがチームの優勝への望みをつないだ。 この日は22歳の誕生日。同点の8回裏1死二塁という緊迫した場面でリーグ戦初打席初安打初打点をマークした前日の試合に続き、代打起用された。中山は「昨日同様チャンスの場面で選んでもらったので、リラックスして打席に立てた」と落ち着き払っていた。リーグ戦1号となるバースデー弾に田中監督も「『ありがとうございます』と初めて帽子を取って選手に頭を下げました」と、感謝しきりだった。 もどかしい時間を過ごしてきた。副将の重責を担うがレギュラー捕手ではない。4月20日の東大1回戦でリーグ戦初出場。だがその後はブルペンで黙々と準備する時間が続いた。しかし、副将として、「宗山が出来ないところを補っていく」と上半身のコンディション不良で欠場が続く主将・宗山塁内野手(4年=広陵)とチームを支え続けている。主将も「中山はピッチャーとコミュニケーションをすごくうまくとってくれて、自分1人で出来ないところを助けてくれる」と全幅の信頼を置く欠かせない存在だ。 優勝の可能性を残し早慶戦の結果を待つ。だが、ただ待っているつもりはない。中山らナインは「準備するだけ」と優勝決定戦もにらみながら準備を整える。(大中 彩未)
報知新聞社