米国総合病院に聞く「なぜ増えた」トコジラミ 「ここにもいる」トコジラミ
以下は、メイヨー・クリニック(Mayo Clinic・合衆国ミネソタ州ロチェスター市に本部を置く総合病院)のHPからの翻訳転載である。 最近、報道される機会が増えている「トコジラミ」とは一体どんな生き物か。その概要、症状などを紹介する。 ■「トコジラミ」とはそもそも何か トコジラミ(別名:ナンキンムシ)は、赤褐色で、小さく、翅(はね)のない吸血昆虫である。トコジラミの咬み跡は、通常、治療せずとも1~2週間で治癒する。今のところ、トコジラミが伝染病を媒介したという報告はない。しかし、人によってはトコジラミが原因となり、アレルギー反応や重度の皮膚反応を引き起こすことがある。 トコジラミはリンゴの種ほどの大きさの昆虫だ。ベッドの隙間やくぼみ、下部のマット、ヘッドボード、ベッドフレーム、その他ベッド周りの物の隙間や隙間に潜み、夜になると棲み処から出てきて大好物である人間を吸血する。ホテルや病院、ホームレス・シェルターなど、夜間の宿泊客が頻繁に出入りする場所で過ごすと、トコジラミの被害に遭うリスクが高くなる。 ■被害にあうと、症状は? トコジラミの咬み跡は、他の虫による虫刺され、そして発疹の症状と似ている。トコジラミの咬み跡の特徴は、一般的に以下の通りだ。 ・炎症性の斑点。多くの場合、真ん中に黒っぽい斑点がある ・かゆみを伴う ・咬み跡はぶつぶつと線状に続いたり、一か所に集中したりする ・主に顔、首、腕、手にできる 一部の人はトコジラミに刺されても何の反応もない。しかし、一方で、ひどいかゆみ、水疱、蕁麻疹などのアレルギー反応を起こす人もいる。 ■受診のタイミング トコジラミに刺され、アレルギー反応や重度の皮膚反応を起こした場合は、医療機関で専門的な治療を受けるべきである。
トコジラミ蔓延の原因
トコジラミ蔓延の原因としては以下が考えられている。 ・旅行頻度の増加 ・害虫駆除方法の変化 ・トコジラミの殺虫剤への耐性アップ ■どこに潜んでいる? トコジラミは一般的に、人間の就寝場所、またその周辺で発生する。トコジラミが発生しやすい主な場所は以下のとおりだ。 ・衣類 ・荷物 ・寝具 ・箱・ボックススプリング・マットレス ・ヘッドボード ・ベッドの近くに置かれたもの 上記の場所だけでなく、以下に潜んでいる場合もある。 ・はがれたペンキやはがれた壁紙の下 ・幅木の近くのカーペットの下 ・布張りの家具の継ぎ目 ・照明のスイッチプレートやコンセントの下 ■どのように広がる? トコジラミは、翅をもたないため、衣類、荷物、家具、箱、寝具などに付くことで、とある場所から別の場所へと移動する。 トコジラミは、ホテルやアパートのフロアや部屋間を簡単に移動することができるのだ。 ■不潔のサイン? トコジラミの棲み処に「清潔か不潔か」は関係ない。トコジラミが生息するために必要な条件は、暖かい宿主、そしてたくさんの隠れ家だけだ。 ■危険因子は── アパート、寮、ホームレス・シェルター、ホテル、クルーズ船、列車、バス、難民キャンプなど、人の出入りが多い場所にいると、トコジラミに刺される危険性がある。 ■予防法 ・肌を覆うこと。トコジラミは衣服の下に潜りこんで吸血することはない。そのため、できるだけ肌を覆うようなパジャマの着用が、トコジラミによる吸血の予防に繋がる。 ・中古品を注意深く調べること。中古の寝具やマットレス、布張りの家具などは、家に持ち込む前に十分な確認が必要だ。 ・ホテルは、予防をした上で利用する。マットレスの継ぎ目にトコジラミの排泄物がないかチェックしよう。また、荷物は床ではなくテーブルやドレッサーの上に置くことが重要だ。
Forbes JAPAN 編集部