三菱モルガンの起債主幹事外しが拡大、収益に影響も-処分勧告
(ブルームバーグ): 三菱UFJモルガン・スタンレー証券が起債の主幹事から外れるケースが相次ぎ、三菱UFJフィナンシャル・グループと米モルガン・スタンレーが合弁で営む国内証券業務は手数料収入の減少などを通じて業績に影響が出る可能性に直面している。
イオンは14日、準備中の社債の主幹事から三菱モルガンを除外することを明らかにした。既に神奈川県と住宅金融支援機構が主幹事変更を決めており、三菱モルガンは判明しているだけで3案件で主幹事指名を失ったことになる。
証券取引等監視委員会は14日、三菱モルガンなどMUFG傘下の3社の間で金融商品取引法に違反する行為があったとし、行政処分を出すよう金融庁に勧告した。処分が決まれば投資家動向や起債運営に支障をきたす可能性があり、発行体は先行して対応することで資金調達に影響が及ぶリスクを避けようとしている。
セゾン投信の瀬下哲雄マルチマネジャー運用部長は、行政処分が出れば「公共性が強い、または公共性を強く意識している組織に関わる引受業務や売買業務に影響が出るだろう」と話す。今後1年程度、業績に影響すると考えられると言う。
不祥事で証券会社が主幹事から外された事例は過去にもある。相場操縦事件があったSMBC日興証券は2021-22年にかけて多数の取引を失った。今回はNECも準備中の起債で三菱モルガンを主幹事から外すことも含めて検討しているとブルームバーグの取材に話した。東海カーボンやマクロミルなど、現在起債を計画中のほかの発行体もこれに続く可能性がある。
証券監視委の発表資料によると、三菱モルガンと三菱UFJ銀行、モルガン・スタンレーMUFG証券の3社は、法人顧客から同意を得ていないにもかかわらず、非公開情報の授受などを行っていた。金商法には顧客の同意なく銀行と証券間の情報共有を禁じるファイアウオール(FW)規制がある。
イオンは6月下旬に2本立て総額500億円程度のサステナビリティー・リンク・ボンドを起債する予定。財務部ファイナンスグループの松本拓也氏は主幹事変更について、安定的に起債運営できない可能性を含めて「総合的に判断した」と述べた。