敵前逃亡?!電撃退団した本田圭佑のこの先はどうなるのか?
加入直後のFCフローニンゲン戦こそスタンド観戦となった本田だったが、国際Aマッチデーによる中断明けのスパルタ・ロッテルダム戦で先発。新天地でのデビュー戦で後半36分までプレーすると、続くSCヘーレンフェーン戦ではボランチとして先発フル出場した。 順風満帆に映った船出は、しかし、2点のリードを守れず、逆転負けで連敗が5に伸びたヘーレンフェーン戦で暗転する。不振の責任を取る形で、スルツキー監督が試合直後に電撃辞任。オランダ人のジョゼフ・オースティング暫定監督体制になり、本田の起用法も大きく変わった。 今月7日のフェイエノールト戦は、一転して後半36分からの途中出場にとどまった。同14日のFCトゥウェンテ戦は先発フル出場したが、これは中盤の要を担うリーシェドリー・バズール、マトゥス・ベロがともに累積警告で出場停止となる非常事態を受けての起用だった。 2人が戦列に復帰する、年内最後の試合となるフェンロ戦で再びリザーブが予想されたなかで、本田はベンチにも入らなかった。フィテッセ側が「個人的な事情」と異例の欠場理由を明かした翌日に、冒頭で記した退団が本田本人、クラブから発表された。 おそらくはフェンロ戦前の段階で、退団が決まっていたのだろう。しかし、本田がツイートした映像内で退団理由としてあげた「スルツキーがクラブを去ったことに責任を感じている」を、額面通りに受け止めることはできない。 本田が戦列に名前を連ねた後も、フィテッセは連敗から抜け出せなかった。責任を感じたとしても、だからといって選手が自ら退団する展開はありえない。考えられるのは「指導者人生のなかで、圭佑は最高の選手の一人だ」といまも厚い信頼を寄せ、シーズン途中での獲得を幹部に進言したスルツキー監督が去ったフィテッセで、後ろ盾を失った本田の立場が急変したことだ。
本田は来夏の東京五輪へオーバーエイジの一人として出場し、日本を金メダルへ導く壮大な野望をぶち上げている。五輪代表を率いる森保一監督へアピールする意味でも、メルボルン・ビクトリー退団後は高いレベルのリーグで、コンスタントにプレーできる新天地を追い求めてきた。 前指揮官の寵愛を失い、公平な競争を強いられる状況になったいま、先発から大きく後退した立場に回ったことはフェイエノールト戦が如実に物語っている。シーズン途中とあってアピールする時間も多くない、と考えを巡らせた結論が退団だったと考えられるが、別の視点から見れば実力でポジションを奪い取れないと判断した末に、ライバルたちから敵前逃亡したと言ってもいい。 件のフェンロ戦を3-0で制したフィテッセは一時期のどん底状態を脱し、6位に順位を上げてウインターブレークに入った。本田抜きでも状況を変えつつあるフィテッセの現状を見れば、居丈高かつわがままな理由で退団を糊塗している本田の痛々しさが逆に浮き彫りとなってくる。 一時帰国した本田は、年明けに幕を開ける移籍市場での再移籍を視野に入れている。フィテッセ加入後に言及した「行きたい国」に関して、本田は同じインターネットテレビ局のニュース番組内でスペインのラ・リーガ1部だとこう明かしている。 「だけど、スペインの奴らが僕の実力を見誤って、なかなかオファーを出さなかった。自分が目指しているのは東京五輪出場と明確なので、そこで出て勝つために、自分にはどういうプレーが必要なのか、成長が必要なのかというのを逆算すると、スペインという答えが出た」 この考え方に沿えばスペイン行きを目指すことになるが、フィテッセで出場した4試合、計270分間のプレーでインパクトを残せなかった本田に、果たして興味を示すクラブがあるのかどうか。 しかも、スペインへ憧憬の念を抱きながらも、本田は無所属の時期にプレミアリーグの名門、マンチェスター・ユナイテッドやかつて所属したセリエAの名門ACミランの公式ツイッター宛に、自らを売り込む英文のツイートをリプライしている。前者のリプライを和訳すれば次のようになる。 「オファーをください。お金はいりませんが、素晴らしいチーム、素晴らしいチームメイトたちと一緒にプレーする必要があります」