「顔さえ隠しておけば‥‥」。ヒットマン組長への無罪判決で"ヘルメット強盗"の増加がささやかれる理由
判決では結論的に、「犯人である可能性は高いが、別人が犯人である可能性を否定することはできない」と判断され、中田組長の僅差の判定勝ちとなった。今後にもたらす影響は大きいとの指摘がある。 「捜査当局は防犯カメラの追跡捜査に主眼を置いているが、今回の事件のように顔の全体が映っていないと本人だとは言い切れないということになれば、有罪立証のハードルが高くなる。 例えば、闇バイトの強盗事件は、目出し帽やフルフェイスのヘルメットを使ってタタキに入るので、素顔をさらすことはない。捕まってもワンチャン無罪あるかもという風潮がはびこれば、ますます応募する若者が増えてしまう。 あと、暴力団のように拠点や自宅に不特定多数が出入りする集団だと、別人が犯人の可能性が排除できないということになれば、厳罰化で抗争に慎重だったヤクザが、これみよがしに殺傷事件を起こしていく可能性がある」(捜査関係者) 「疑わしきは罰せず」という刑事司法の原則に依拠して、無罪判決となった今回の公判。しかし、犯罪集団に誤ったメッセージとして伝わり、増長させかねない危険性をはらんでいる。 文/大木健一 写真/安西良美