『潜入兄妹』ハッキリと示された貴一×優貴の役割 “幻獣”幹部4人の素顔が明らかに
帰宅した貴一(竜星涼)と優貴(八木莉可子)を待ち構えていたのは、“幻獣”の幹部のひとりである白虎(黒谷友香)。彼女のハコから開発中のプログラムが盗まれたという。それはDMのやり取りで男性に恋愛感情を抱かせて金銭を騙し取る“おねだり女子”と呼ばれるロマンス詐欺を、AIで自動化するプログラムのオリジナルデータ。何十億円もの儲けが出せるというそれを取り返さなければ「焼き殺す」と脅された貴一は、例によってハコの仲間たちと共に騙し合いに挑むことになる。 【写真】4人目の幹部として現れた青龍(桐山漣) 10月26日に放送された『潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官』(日本テレビ系)は第4話。現実世界では“頂き女子”として話題になったロマンス詐欺の一種をモチーフにしたことが明白な“おねだり女子”の登場。そもそも闇バイトのひとつである題材に踏み込んで、それをエンタテインメントのひとつとして昇華させている本作だが、前回の名簿屋や前々回の詐欺師とのコンゲームと比べると、大きな組織に使われる末端の貴一たちが、同じように末端に近い者たちと戦うことになるという点で、今回のエピソードは詐欺行為そのものの浅ましさを描けていると見える。 当然、劇中で描かれる“おねだり女子”の手口はいたってシンプル。明らかに覇気も志もなく詐欺に勤しむ“プレイヤー”と呼ばれる実行役はそっちのけで、それらをまとめるハコからいかにしてプログラムを奪うかという点に徹するあたりは潔い。雑用係の男(その設定は、『ユージュアル・サスペクツ』を想起させる)に、ハコを仕切るまりな(冨手麻妙)を裏切るよう持ちかけるが、実はこの男こそがハコを取りまとめる側であったというどんでん返し。それを最小限の頭脳プレーと安定感のあるフィジカルで制し、白虎の兵隊も動員して打ち砕くスムーズさは、まさにこのドラマの持ち味といえよう。 一方で、“おねだり女子”に対して因縁がある土器(岡井みおん)の存在がストーリー自体に動きを与え、かつ前回のエピソードあたりからその片鱗を見せていた優貴のなかに芽生えるハコの仲間たちへの感情をより強くさせていることが窺える。なにせ優貴と土器には、“父親の復讐”という共通点が発生したのだから尚更だ。その同情心のあらわれか、父親の借金を完済できた土器に「これで辞められるね」と話す優貴だが、土器は“仕事”を続ける意欲を示すことで優貴の気持ちを無碍にする。アクションとサスペンスは貴一が握り、ドラマ性の部分は優貴が握る。兄妹の役割分担が、今回よりハッキリと示されたわけだ。 今回のラストで、青龍を演じているのが桐山漣であることが判明。これで“幻獣”幹部4人の素顔が明らかになり、次回で貴一が青龍からの信頼を勝ち取り、鳳凰の素顔を近日中に拝めることが確定的となった。ところがここで、例の“おねだり女子”のハコに資金提供していた人物として「九頭龍」なる人物の名前が浮上してくる。白虎から逃れた男が九頭龍の協力を得ていたということを踏まえれば、“幻獣”と敵対する存在なのは間違いないだろう。あわよくば、後半戦のカギを握るのは九頭龍なのかもしれない。
久保田和馬