森を纏い、森と踊る!?遊びと学びが交差する“不思議な祭り”の全貌
「チーズ工房【千】sen」のブース。千葉県産にこだわったチーズ「鼓動 Kodou」は、山武杉を木桶職人の手で木桶に仕上げ、その桶で仕込まれた「寺田本家」の日本酒でチーズの表面を磨き、山武杉の経木を側面に巻き付けて熟成させたもの。 店主でチーズ職人の柴田千代さんは、国内のチーズ生産者にとって最高賞にあたる農林水産大臣賞を、女性として初受賞(「情熱大陸」にも出演)。「地方でも女性でも、思いがあれば必ず叶う。地方にこそ財産がある」と話し、何ものにもとらわれない価値を世界へ発信し続けています。
祭りを主催するのは、新しい林業に取り組む"空師"「WO-un」の佐瀬響さんと栗原幸利さん。 空師とは、特殊な木登り技術を駆使して木に登り枝や幹を伐る、樹上作業の専門家。佐瀬さんと栗原さんは、かつてブランド木材を産出した山武市で、消費されることのない“体験”を生産しています。 「年に1度のお祭りは、整備の経過を皆さんに見ていただく“発表会”のような、僕らにとっては“収穫祭”でもあるような、そんなお祭りです。現在はワークショップなど“学び”のプログラムにも取り組んでいて、来年度から山武市の中学1年生の環境教育プログラムをやらせていただくことになりました」(佐瀬さん 以下同)
遊びの中から学び、学んだことを遊びとして、結んで還す
「僕もここで活動を始めるまでは、植物の土台となる土が何で出来ているのか…考えもしませんでした。母材と呼ばれる大元の素材もありますが、土壌の中では有機物を分解したり、窒素を固定してくれたりする微生物たちがいてくれるからこそ、植物は栄養を得られます。その視点が得られてからは、その微生物たちがいやすい環境やこの分解者が一端を担ってくれている森の全体的な循環へ…学びはどんどん広がっていて、まだ終わりは見えません。でも実は、こういうことって中学や高校で学んでいることも多いんです。窒素固定細菌や物質循環も。ただ言葉の難しさにつまづいたのか、実感が欠けていたからなのか、僕も全く覚えてませんが…」と佐瀬さんは笑う。