課題解決は先送り?改正政治資金規正法が可決 改正のポイントと残った課題 専門家「税優遇を政治家が使うことが問題」
控除申請の議員は他にも
この「税の優遇」は、菅家衆院議員だけでなく、福島県関連の国会議員で広く使われている実態が浮き彫りになった。福島テレビは福島県選挙管理委員会に情報公開請求を行い、2019年から2023年までの5年間を調べた。 自らが所属する党の関連団体に寄付を行い「税の優遇」を申請する方法は、与党・野党問わず広く使われていた。 自民党の衆院議員では福島県関連の5人全員が申請していて、総額は約8200万円に上っていた。また自民党の参院議員でも、福島関連の2人とも申請し総額は1100万円余りだった。 さらに、野党でも福島県関連の衆院議員4人全員が申請していて、総額は2100万円余りに上っていた。
市民の参加を促す仕組みなのに…
税法の専門家は、議員がこの制度を利用できる現状を問題視している。 「政治献金をしたら税金を優遇するという、この制度自体が何のためにあるのか考えてみると、おそらく献金をすることで民主主義の基礎である選挙とか政治に少しでも参加してもらおうというもの」と話すのは、税法を専門とする青山学院大学の三木義一名誉教授。 「市民の政治参加を促すための仕組みを、政治家が使うことが問題」と指摘する。その上で、三木名誉教授は「自身が代表を務める政党支部」だけでなく、国会議員の政治団体への寄付そのものを見直すべきだと考えている。 「私たちの税のあり方を決める議員たちですよね、僕ら以上に税については潔癖で自立性の必要がある。第三者の専門家たちの判断をちゃんと立ててもらって国会議員が素直に従って、それを法律化するというところまでいかなければダメです」と三木名誉教授はいう。 改正政治資金規正法で残された課題は「税の優遇」だけではない。これまで公開義務のなかった「政策活動費」については10年後に領収書が公開されることになった。しかし、具体的な仕組みは決まっていないため、今後協議されることになる。 公開されても、黒塗りだったとならないように、注視する必要がある。 (福島テレビ)
福島テレビ