30代転職者5人に1人「100万円以上」年収アップ カギは「年収交渉」...自分のスキル徹底アピールするコツ/マイナビ・瀧川さおりさん
転職理由は年収だけではない、自分に合った仕事選びも大事な目的
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査をまとめた『マイナビ転職』編集長の瀧川さおりさんに話を聞いた。 ――調査結果をみると、転職によって年収アップした人が4割ですが、3人に1人が横ばい、4人に1人がダウンです。逆にいうと、6割の人は年収が上がらない、もしくはダウンすることになります。年収アップを転職の目的と考えると、リスクが大きい印象を受けますが。 瀧川さおりさん 直接的に年収が上がった人は4割に留まりますが、横ばい、ダウンに比べて割合としては一番高い結果となりました。また、年収が横ばい(現状維持)の場合も、勤務時間や休日数など諸条件の改善により時間あたりの給与が上がっているケースもあります。 スキルアップ可能な仕事や副業可能な仕事への転職によって、年収アップを段階的に目指しやすい環境の構築に成功しているケースもある。こうしたことを考えますと、年収アップの手段として、転職は有効であると考えられます。 ――年収がアップした割合を見ると、20代が一番高いです。次に30代、40代と割合が下がっていきます。この理由は何でしょうか。やはり、若いうちに転職した方が年収アップには有利ということですか。 瀧川さおりさん 転職の目的は、年収だけでなく自分に合った仕事内容、休日や勤務時間など待遇の改善など、人によってさまざまです。20代、30代は年収アップを目的に転職する人が比較的多いですが、40代以降は年収以外の理由を目的に転職している人が多くなっていきます。 また、30代になると、ワーク・ライフバランスや家族との兼ね合いにより、年収以外にも勤務地や休日・残業時間など、妥協できない条件が多くなってくる人も出ます。ですから、20代が有利というより、年収を最優先にして転職先を選んだ人が多かったことに起因すると考えられます。
市場価値の高いスキル・経験を高く売り込もう
――なるほど。しかし、面白いことに年収アップ額では30代が一番高いですね。企業が求める人材は、20代、30代、40代でそれぞれ違い、年収額に反映されるということですか。 瀧川さおりさん 30代の年収が上がりやすい理由は、ある程度業務経験を経て、自身の強みやスキルを把握しやすく、年収アップを目指しやすい転職先を選んでいけるという点。また、20代に比べ自身の実績などをアピールしやすく、交渉ごとの経験値もあがっているため、年収交渉をしやすくなる点があげられます。 また、30代は「規模が大きい企業への転職」が多いのが特徴です。今のスキル、今の実績をより高い報酬で評価してくれる企業を、戦略的に選んでいる傾向もあるのではないでしょうか。 ――転職後の年収が「理想より低い」と感じる人が6割もいて、たとえ年収アップをかなえても、理想の額より120万円少ない結果が切ないですね。ギャップが大きい人と小さい人では違いがあるのでしょうか。 瀧川さおりさん 転職先に求めるものはさまざまで、年収以外にも仕事の内容ややりがい、休日や勤務時間など多様な条件のなかから、自分に合っている仕事を選ぶことになります。 年収を最優先して他の条件を妥協したという方は比較的年収のギャップが少ないことが考えられます。しかし、年収以外の条件を優先した方は、比較的年収のギャップが大きいことが考えられます。 また、市場価値の高いスキル・経験が身に付いている方は、比較的高い年収を得やすいです。その一方で、平均年収が低い業種・職種だと、スキルや経験が身に付いていても年収を上げづらい状況があり、理想年収とのギャップに関係してくるかもしれません。