小池都知事の「学歴詐称疑惑」再燃の“奇々怪々” 元最側近・同居人の実名告発で政治生命の危機説も
そもそも小池氏は、2020年5月に出版されたノンフィクション作家・石井氏の著作『女帝 小池百合子』の中で、それまで自身が主張してきたエジプト・カイロ大学卒業の経歴への疑義を指摘されて都議会で厳しい追及を受け、同年7月5日の都知事選を前に窮地に追い込まれていた。 そうした中の同年6月9日、カイロ大学が小池氏の卒業を認める声明を唐突にフェイスブックに公表したことで疑惑は一気に沈静化。自民党を含めた都議会各会派は追及をやめ、メディアも関連報道を自粛した。ただ、その当時も、関係者の間では「カイロ大の声明文公開の経緯」を疑問視する声は少なくなかった。
■小池氏側近だった元ジャーナリストのA氏の存在 17日の会見で小島氏は「カイロ大が声明を公表する案は自らが提案したものだった」として、当時、自分と同じ小池氏側近だった元ジャーナリストのA氏が「その原案を作ったことがわかった」と説明。その裏付けとしてA氏が作成した声明文の原案と、実際にフェイスブックに公表された文面を並べて提示し、両者がほぼ同じ内容であることを指摘した。 そのうえで、都知事選公示の6月20日に小池氏が立候補を届け出た際、自身の経歴に「カイロ大学卒業」と明記した場合には、「公職選挙法上の経歴詐称として刑事告発をする可能性がある」と明言するとともに、現時点では匿名にとどめているA氏の実名も含め、「裁判になればすべてを明らかにする用意がある」と語った。
これにタイミングを合わせるように、小池氏と長年の交際がある前東京都知事の舛添要一氏も17日、自らのX(旧ツイッター)に、「小池氏の学歴詐称疑惑について、私の知っていることを書く」としたうえで、「嘘から始めた政治家人生、本人のためにも、日本国のためにも、この権力欲にまみれたポピュリストはもう政界から去ったほうがよい」と喝破した。 ■「音無し主要メディア」の裏に“政治的謀略”も 小島氏の17日の会見には、日本の中央・地方各新聞社やテレビ各局など多くのメディアが集結、取材していたが、NHKや民放各局の17日夜以降のニュースや情報番組、翌18日の中央・地方紙朝刊などは、ほとんど踏み込んだ報道をしなかった。さらに、日本のメディアの総本山である「日本記者クラブ」(公益社団法人)も今のところ小島氏の会見などは予定していないことなどから「主要メディアの慎重対応」も際立つ。
その一方で、小池氏に“忖度”するように、岸田首相ら政府与党幹部も「そろって無視を決め込んでいる」のが実態だ。ただ、その背景については「官邸中枢や大手メディアの最高権力者も絡んだ底の知れない“政治的謀略”が垣間見え、都知事選に合わせた衆院解散論や、自民党総裁選を絡めた“権力闘争”の材料にもなりつつある」(自民長老)との指摘もあり、「表舞台と裏舞台の反応の“落差”が、『小池問題』の闇の深さを物語っている」(同)ことは間違いなさそうだ。
泉 宏 :政治ジャーナリスト