「金正恩さん、お返しください」北朝鮮による拉致被害者横田めぐみさんの母早紀江さんが強い訴え
北朝鮮による拉致被害者の帰国を求める「国民大集会」が11日、東京都内で開かれ、被害者家族らが北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記に語りかけるような言葉をまじえ、問題の1日も早い解決を訴えた。 横田めぐみさん(失踪当時13)の母、横田早紀江さん(88)は、金総書記がたびたび、娘を視察に同行させていることを念頭に「金正恩さん、あなたのお嬢さんが突然、きょうの夕方何の意味もなく消え果てて、どこにいるか分からない状況になった時、どのようなお気持ちになりますか」と訴え、「どうか心を変えてください。心からお願いします。お返しください」と強い口調で呼びかけた。 めぐみさんの弟で家族会代表の拓也さん(55)は、拉致問題に対するこれまでの北朝鮮の談話などの反応を踏まえ「どれだけ汚い言葉で私たち揺さぶろうとも、動じることはない。暴力と恐怖の支配の力以上に、私たちの家族愛の力が強いからだ」と述べ「金委員長に伝えます。今、私たちは歴史の転換点に立っている。あなたの代ではなく、過去の代で実行された拉致事件を解決し、(日朝)両国が明るい未来を描くためのかぎは、あなたが持っている」「私たちは単純に、拉致された自分たちの家族を返してほしいだけ。金正恩委員長の勇気ある英断にかかっており、過去の代で行われた負の歴史と決別してほしい」とも呼びかけた。 その上で、被害者家族が高齢になっている現実を踏まえて、拉致被害者の即時一括帰国に向けた交渉の継続を、日本政府にも要請した。 会合に出席した岸田文雄首相は「日朝首脳会談を実現すべく、私直轄のハイレベル協議を進めていく。早期実現に向けた働きかけを一層強めていく」とした上で「なんとしても私自身の手で拉致問題を解決するという強い決意のもとで、全力で取り組む」と訴えた。 会には2002年に帰国した拉致被害者の曽我ひとみさん(64)も出席。1978年に新潟・佐渡でともに拉致された母ミヨシさん(失踪当時46)が、最近夢に出てきたとして「夢ではなく、母と一緒にこたつに入って笑いながらたくさん話をしたい。明日は母の日ですが46年、母にカーネーション1本もあげることができない」と口にした。