韓国憲法裁判所判事の欠員3人、補充か6人で審理か 尹氏弁護団は最高検出身者ら選任
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の国会による弾劾訴追議決を受け、憲法裁判所は27日、争点と証拠を整理する初の弁論準備手続きを開始した。弾劾議決書を受理した後、180日以内に弾劾の妥当性を判断する。憲法裁の審理は2、3回の弁論準備を経て来年本格化するとみられる。ただ、憲法裁で欠員となっている判事3人の任命を巡り与野党が対立し、審理進行の障害になるおそれもある。 国会の弾劾議決によれば、「非常戒厳」宣布の違憲・違法性や、国会に兵力を投入し、政治家の逮捕を試みたことが刑法の内乱罪に当たるかが主な争点となる。 尹氏側は同日、弁護団の選任を発表。聯合ニュースによると、弁護団代表を最高検察庁出身で尹氏の上司だった金洪一(キム・ホンイル)前放送通信委員長が務めるほか、最高検で反腐敗捜査部長などを歴任した尹甲根(ユン・ガプグン)弁護士や朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾審判当時に憲法裁広報官を務めた裵輔允(ペ・ボユン)弁護士らが加わった。 初の弁論準備手続きに出席した裵氏は、弾劾審判請求の適法性について争う考えを示した。尹氏の1回目の弾劾訴追案が廃案になった後、国会が別の会期に再採決し可決した手続きについて争う構えとみられる。 憲法裁判事は大統領、国会、最高裁判所長官が3人ずつ選出し、9人で構成するが、現在は国会選出の3人が空席となっている。憲法裁判所法は、審理は7人以上の裁判官の出席で行い、弾劾の決定には6人以上の賛成が必要と規定。憲法裁側は6人体制でも審理と弁論は可能とするが、最終的な審判を下せるかは「引き続き議論中」としている。過去には、朴元大統領が弾劾案可決の約3カ月後、判事8人(欠員1人)の全員一致で罷免された。 韓国メディアによると、現職判事6人の政治的傾向は革新派2人、中道3人、保守派1人。国会の選出案は野党推薦の判事候補者2人、与党推薦1人の計3人で、任命されれば革新派が優位になる。(石川有紀)