オバマ元米大統領も愛した世界初スマートフォンの栄枯盛衰を描いた映画「ブラックベリー」
フルキーボードを搭載した世界初のスマートフォン BlackBerry(ブラックベリー)は、バラク・オバマ元アメリカ大統領をはじめセレブリティーたちを魅了し一世を風靡(ふうび)した。しかし、アップル社のiPhoneの登場により、次第にシェアを失ってしまう。その栄枯盛衰を実話に基づいて描くカナダ映画「ブラックベリー」(2023年/日本未公開)が、U-NEXTで6月6日(木)より配信中だ。 【動画】「世界一の電話を作る」世界初のスマートフォン、BlackBerryの始まりと終わり「ブラックベリー」予告編(英語版)
幼なじみ2人でBlackBerryを開発
オンタリオ州ウォータールー。大学を中退した天才開発者マイク・ラザリディス(ジェイ・バルチェル)は幼なじみのダグことダグラス・フレギン(マット・ジョンソン)と、1984年にリサーチ・イン・モーション(RIM)社を創業した。 96年、彼らは電話にコンピューターを搭載した画期的なモバイル機器「ポケットプラン(仮称)」を開発中だった。しかし10人に満たない会社のメンバーは映画やゲームを愛するハイテクオタクの開発者ばかりで、営業や交渉術、金策にたけている人物が1人もおらず、会社は火の車である。 そこにハーバード大卒でMBAを取得している剛腕ビジネスマン、ジム・バルシリー(グレン・ハワートン)が現れ、共同CEOに就任する。このバルシリーの常軌を逸したパワハラ&俺様キャラがマイクたちを振り回し、本作の推進力となる。 常に上から目線で命令口調、感謝や謝罪の言葉を述べることは絶対にない。経理スタッフとしてセクシーな美女を突然連れてくる。得意技は、恫喝(どうかつ)と罵倒と4文字ワード。思い通りにいかないことがあると瞬間湯沸かし器のように激高し、オフィスの電話機や公衆電話の受話器をたたきつけて破壊するのだ。 この破壊行動から、彼がテクノロジーに対してまったく愛情や敬意を持っていないことは明らかである。実際、BlackBerryが大成功を収めた後に彼が心血を注いだ事案は、愛するNHL(北アメリカのプロアイスホッケーリーグ)に所属するチームの買収計画だった。 とはいえ彼がいなかったら、BlackBerryは誕生しなかっただろう。なぜならマイクは完璧を追求するあまり、テック(に限らずだが)ビジネスに必要なスピード感を持ち合わせていなかったからだ。バルシリーがニューヨークの大手通信会社に勝手にアポイントメントを入れて、マイクたちが徹夜でプロトタイプを組み立てるシーンは、本作の最初の盛り上がりとなる。そのプレゼンが大成功し、ポケットプラン改めBlackBerryが誕生したのだ。