進む校則の「点検」…佐世保の全市立学校で見直し 生徒も提案、管理型から主体性育む内容へ
佐世保市立学校で校則を見直す動きが出始めている。市教委が初めてガイドラインを作ったのをきっかけに、全70校が本年度から来年度にかけて校則を“点検”する。児童生徒も一緒に今の時代に合うように考え、従来の「管理型」から主体性を育む内容に変える。既に見直した学校では生徒が自ら考え行動する姿が見られており、市教委はこうした動きを広げていきたい考えだ。 「髪形は男女差をなくし、後ろ髪が肩に掛かれば結ぶ」「白のひも靴のみだった通学靴は黒やマジックテープも認める」-。市立山澄中(辻義孝校長、283人)では、来年度からのスタートに向けて生徒会が生徒の意見を集約して学校側に提案、見直しが大詰めを迎えている。 生徒会長の松尾琉世さん(15)は「生徒が主体的に判断して楽しい学校生活を送れるように考えた」と話す。昨年12月中旬に開いた生徒会の会議で松尾さんは「生徒の意見が反映されることになる。自覚と責任を持って守っていこう」と呼びかけた。 市立学校では校則を「生活の心得」などと呼ぶケースもある。校則を巡っては、全国的に行きすぎた頭髪指導や下着の色の指定など不条理なルールが“ブラック校則”として問題化。市教委は「(合理性に欠ける内容などが)まだ残っているのが実情」との問題意識の中、市学校教育審議会に諮問し、ガイドラインを作った。 ガイドラインは、何をどう変えるべきか児童生徒が考え、行動する機会にすることを求めている。「地毛が茶色でも黒色に染めなければならない」というように生まれ持った特徴に配慮しない内容になっていないか、「靴下や肌着は白色」などと指定する理由を合理的に説明できるかどうかなど速やかな再点検も促す。 既に見直しを終えた学校もある。市立三川内中(大田勝明校長、74人)は「がんじがらめに管理する校則」からの転換を掲げた。学校側が示した改定案に、生徒の意見を反映させた。 本年度からの新たな校則は、季節や場面を考えた適切な服装、身だしなみに加え、学習に支障がない髪形を「自分で考えよう」と促す。髪の一部を短く刈り込むツーブロックを禁止項目から外したり、下着や靴下、靴、防寒着などは色の選択肢を増やしたりして生徒が判断する場面を増やした。大田校長によると変更による学校生活の乱れはないという。 市教委学校教育課は「子どもたちが自ら目標を設定し、力を伸ばしていくための一歩にしてほしい」としている。