2458ccの化物バイク?! トライアンフ「ロケット3 ストームR」は巨大なのに普通に乗れる【試乗インプレ】
速度高めの領域では意外な運動性を見せる
じゃあ走る/止まるに“曲がる”を加えたらどうなるのかというと、これもある程度の経験があれば自然に行えそう。グラリときたらもちろんそれなりに重いが、バイクに変な動きを与えないように操作すれば、長いホイールベースと300kg超の車重でもハンドルが切れ込んだり不自然に立ちが強い/弱いといったこともなく、手に力が入って疲れてしまうようなことはない。 さすがにタイトターンはちょっと苦手だがそれも許容範囲。ここで感心したのはブレーキの扱いやすさだ。前後ともブレーキのかけ始め/緩め始めがスムーズで、低速で曲がるようなときもコントロールしやすい。エンストしそうな気配がないエンジンに助けられている面もあるだろう。 クローズドコースでの試乗なので、スロットルを思い切ってワイドオープンしてみると、182ps/7000rpmの最高出力が炸裂する。高回転に向かって盛り上がるというよりは、極上のトルクが回転上昇とともに増していく感じで、まさしく怒涛の押し出し感。3気筒のゴリゴリとしたフィーリングもわずかに残しながら、モーターサイクルとして調教の行き届いたスムーズかつ極厚のトルクという、他に類を見ないエンジンフィーリングが楽しめる。 ──極太240mm幅のリヤタイヤがもたらす安心感は絶大。かといってタイヤが太いことによるクセも特に感じない。 速度を上げていった際にもブレーキのコントロール性はとてもよく、制動力も十分。そういえばシャフトドライブの挙動も特にクセは感じなかった。また、ジャイロ効果がロール方向に影響しない縦置きクランクゆえか、寝かし込みは意外なほど軽い。スーパースポーツは無理でも、ワインディングで快走する大型ツアラーやビッグネイキッドなどと一緒に走っても、さほど気後れする必要はなさそうだ。 もちろんこの車重なので、力任せのライディングではどうにもならない。ビッグバイクならではの“スロットルワークで操る”をより強く意識する必要があるし、ブレーキ操作も丁寧さが必要だ。 ツーリングを想定した走り方では、回転を一定に保ちやすい特性が光った。スロットルの据わりがいいというか、狙った速度で走り続けることが全く苦にならないのだ。当然のようにパワーモード切替やトラコン、クルーズコントロールも装備しており、ツーリングも快適にこなせそう。よりリラックスしたライディングポジションで小型ウインドスクリーンなどを装備するロケット3ストームGTなら、さらに快適な走りを楽しめそうだ。