コロナで売上7割減、月400万円赤字…激戦区の「ラブホテル社長」が明かす生き残る秘訣と“困った迷惑客”
大雪の日は「1日3回。2~3時間除雪」
1か月ごとのイベント以外にも、毎日、様々なイベントを行う。1か月間で同じイベントは2日ないようにしているのだという。飲み物や食べ物にも様々な工夫をしている。最近は、きなこ団子やミニマフィン、サラダパフェ、ようかんパフェ、アワビ入りお雑煮を始めた。衛生面に細心の注意を払いながら、常に100種類以上のメニューをそろえる。このメニューも随時、変えている。 「最近の目玉は、お部屋で炊き上げる“ホタテ釜飯”や“活メニュー”。たとえば、当店独自の水槽で育てたうえで料理する活アワビや活イカ、活ホタテ、活ホッキ、活エビなどです。活アワビでは酒蒸しや踊り焼き、刺しがあります。活エビでは、ボタン焼きが特に人気です。お部屋でカップルで調理をしていただくこともできます」 イベントやメニューをX(旧ツイッター)やYouTubeチャンネルで随時紹介する。全員でイベントに全力を注ぎ、常に新しく、清潔で楽しいホテルにしているが、1日36組のペースを維持できない日があるという。12~3月、雪が大量に積もる日は外に出る人が減る。そのような日は工藤さんと兄が中心になり、1日少なくとも3回程、除雪をする。1回につき、2~3時間。 「どか雪の日は、車が走るメインロードからホテル水色の詩までの約60メートルの道を除雪車に乗り、深夜3時間程かけて雪解けをしています。この道は私たちのホテルの敷地外ですが。そばには雪をどけていないから、駐車場にまで車を走らせられないホテルがあります。そのような方が、ホテル水色の詩に来てくださるのです」
1か月で最大400万円赤字が半年続く
1日36組のペースが維持できなくなったのは2020年だ。この年、新型コロナウィルスの感染が本格化する。利用者は大幅に減るが、社員やパート社員の人件費、ホテルの光熱費をはじめ、各種のコストは発生する。税金の支払いもある。1か月で300万~400万円の持ち出し(赤字)となり、この状態が約半年続いた。 「経営を続けるのは難しくなるかも、と一時は思ったのです。いつ、感染拡大の影響が沈静化するのかわかりませんでしたから。売上は前年度比7割マイナスでした。それでも7~8か月後にお客様が増え、1年後に元のペースに戻りました」 1日36組のペースを守るためには、リピーターを増やすことが大切のようだ。そのために衛生面にも力を注ぐ。2024年の今も館内や室内の除菌対策には抜かりない。各部屋の清掃では、亡き父の教えである「掃除がとても大事。毛1本、水滴1つも残すな。不潔な印象を与えたら、ラブホテルは潰れる」を守り、全員で注意しながら取り組む。