3つの特別警報に線状降水帯発生…台風10号は〝最強〟維持し県本土に29日最接近か
非常に強い台風10号は28日、鹿児島県・屋久島の南西をゆっくりと北上し、種子島・屋久島地方と県本土が暴風域に入った。最強クラスの勢力を維持したまま県本土に接近し、九州に上陸する見通し。鹿児島地方気象台は鹿児島県(奄美地方を除く)に特別警報(暴風、波浪、高潮)を発表した。屋久島では台風の中心近くで線状降水帯も発生した。 【写真】住んでいる地域が警報級となる可能性のある期間が一目で分かる
台風による特別警報は2022年の台風14号以来2回目。県は前回に続き、国の特定災害対策本部設置を受け、災害発生前に災害救助法を適用した。気象台は、経験したことのないような暴風や高波、高潮の恐れがあるとして最大級の警戒を呼びかけている。台風の動きが遅いため、総雨量が多くなり、大雨特別警報も発表される可能性がある。 県本土への最接近は29日になる見込み。一部の家屋が倒壊するような猛烈な風が吹く恐れがある。屋久島町尾之間では28日午後、最大瞬間風速44.4メートルを観測した。気象台は、同町北部で1時間の解析雨量が約120ミリとなり記録的短時間大雨情報、午後7時半ごろには線状降水帯が発生し顕著な大雨情報を発表した。29日夜にかけて県本土などで線状降水帯が発生する可能性があるとしている。 県災害対策本部によると、奄美市の60代男性が風にあおられ転倒し、右足を骨折した。薩摩川内市と指宿市で4人が軽いけがをした。このほかさつま町の80代男性が屋根から落ちて頭などを打ち重傷。南種子町の50代女性が風にあおられて転倒し頭を打った。喜界町では漁船2隻が沈没した。
三島村は全域にレベル5の緊急安全確保を発令した。レベル4の避難指示は鹿児島市など26市町村。県内652カ所に避難所が開設され、3286世帯4956人が避難した。 台風10号は28日午後7時現在、屋久島の西南西約40キロにあり、ゆっくりと北に進んだ。中心気圧は935ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は50メートル、最大瞬間風速は70メートルで半径110キロ以内が風速25メートル以上の暴風域。 29日に予想される最大風速(最大瞬間風速)は種子・屋久50メートル(70メートル)、薩摩40メートル(60メートル)、大隅35メートル(50メートル)、奄美40メートル(60メートル)。波の高さは10メートルでうねりを伴う。29日に予想される1時間雨量は多い所で70ミリ、奄美は50ミリ。29日午後6時までの24時間予想雨量は多い所で600ミリ、奄美は150ミリ。
南日本新聞 | 鹿児島