森田想、記憶に残る役に次々チャレンジ。女同士の壮絶な殴り合いシーンでは「段取りより多くなってしまって(笑)」
初朝ドラは「緊張しすぎて記憶がない」
2020年、連続テレビ小説『エール』(NHK)に出演。昭和という激動の時代に、人々の心に寄り添う曲を数々生み出した作曲家・古山裕一(窪田正孝)と、歌手になる夢を追い続ける音(二階堂ふみ)夫婦の物語。森田さんは、小山夫妻の娘・梅(森七菜)の幼なじみでもある先輩作家・幸文子役を演じた。 ――初めての朝ドラはいかがでした? 「緊張しすぎて、本当に何も覚えてないです。めちゃめちゃ緊張していました」 ――作家としての才能とは別のところで最初から注目を集めている梅ちゃんに対する怒りがすごかったですね。 「そうですね。梅ちゃんに対する妬みがあって。でも、作家になったのに、好きな人ができたから、簡単に田舎に戻るということにまた怒りが…という気持ちはすごくよくわかるなあって。そういう意味ではものすごく感情移入しやすかったですね。ただ、緊張しなきゃもっとうまくできたかなって思います」 ――朝ドラの撮影は独特の雰囲気だと思いますが、いかがでした? 「本当にそうでしたね。あとやっぱりあのシーンだけだったから、私のせいで時間を押させてもいけないとか、いろいろ考えてしまって…緊張しました。記憶がないくらい(笑)。でも、良い経験になりました」 同年、『先生を消す方程式。』(テレビ朝日系)に出演。都内の進学校の3年D組の担任として義澤経男(田中圭)がやって来る。3年D組には成績は優秀だが、大人を追い詰め、壊れていく姿をゲームのように楽しむ生徒たちが集まっていて、自らの手を汚すことなく完全犯罪に近い形で担任を潰していく。義澤と生徒たちの壮絶なバトルが…という展開。 森田さんは、飲食チェーン店の社長の娘で、同級生の女子生徒にマッチングアプリで“パパ活”をさせ、お金を稼がせている大木薙役を演じた。 「以前、『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日系)の最終回に出たのですが、そのご縁でそのプロデューサーさんが声をかけてくださり出演することになって、うれしかったです。 メインキャラクターのひとりというのもうれしいですし、学生モノで。結構変わったおもしろいコミカルな学生モノだったけど、キャストの子も久保田紗友ちゃんは元々仲が良かったですし、他の子も仲良くなって今も一緒に遊んでいるので、すごくいい出会いのドラマだったなと思います」 ――森田さんが演じた薙は、仲間にパパ活をさせてお金を巻きあげて。 「そう。社長令嬢で上位グループにいたのにお父さんが問題を起こして会社を追放されてしまう」 ――上位グループからはみ出したくない焦りみたいなのがすごく出ていましたね。 「自分がメインのそういう回も作っていただけてうれしかったです。上位グループにいたんだから、やっぱり下には落ちたくないというのが、学校あるあるで」 ――それにしてもすごい展開でしたね。 「本当ですよ(笑)。もうゾンビの世界でしょう? 後半はもう台本が来たときにはみんなで楽しんでいました(笑)」 ――最初からどういう展開になるか聞いていたのですか? 「詳細は知らされていませんでしたけど、大雑把にゾンビというか、そういうテーマ性は聞いていました。ただ、進行状況で変わっていくという感じではありましたけど。父親が会社を追放されて落ちぶれるというか、最初からずっとリッチではないからグループ内で気を遣っているということは、一応聞いていました。 後半の展開はちょっと予測してなかったですけどおもしろいなと思います。だからおもしろがって、それこそ配信とかで見てくれる知人とかはいました。復活の儀式があって、最終的にハッピーエンドなので」 ――ユニークな展開のドラマでした。撮影はスムーズにいったのですか? 「主演の(田中)圭さんとか皆さんお忙しかったので、スケジュール的にはそんなにスムーズではなかったかもしれないですけど、雰囲気はとても良かったです。スピンオフがあって、そっちは山田(裕貴)さんがメインで異常なセリフ量だったので、本当に大変だったと思いますけど、とても印象的なドラマでした」 森田さんは、2023年の映画『わたしの見ている世界が全て』(佐近圭太郎監督)に主演し、マドリード国際映画祭外国映画部門主演女優賞を受賞。映画『レジェンド&バタフライ』(大友啓史監督)など話題作出演が続く。次回は撮影エピソード、公開中の映画『辰巳』(小路紘史監督)も紹介。(津島令子) ヘアメイク:齋藤美幸 スタイリスト:入山浩章