裸、奇面、蛙飛び、罵倒……日本全国「奇祭」まとめ
蛙飛び行事(奈良県吉野郡)
金峯山寺の蓮華会(れんげえ)で行われる「蛙飛び行事」は、平安時代に始まったとされるユーモラスな行事。神仏を軽んじて黒雲にさらわれた男を、高僧がカエルに変身させて救い出したという伝説に由来するものです。大ガエルに扮した男性が太鼓台に乗って寺に到着。ぴょんぴょんと飛び跳ねて石段を登り、3人の僧による読経で人間の姿に戻るまでを演じます。毎年7月7日開催。
岩倉社のケベス祭(大分県国東市)
奇怪な面を身に付けた「ケベス」が、白装束の男衆「トウバ」の守る火をめぐって攻防を繰り広げる火祭りです。祭りの終盤には、「トウバ」の持つたいまつから参拝客へ火の粉を振りかけ、無病息災を祈願します。不気味な面が印象的な「ケベス」ですが、祭りに関する文献がほとんど残っておらず、祭りの起源などは謎に包まれているようです。例年、10月開催。
悪態まつり(茨城県笠間市)
愛宕神社で行われる「悪態まつり」は、その名の通り、「バカヤロー」といった罵声が飛び交うお祭りです。伝説の13天狗に扮した白装束の行列に悪態をつき、御利益を求めて供え物を奪い合います。天狗役はどんなに罵声を浴びせられようと、山麓から神社までの4キロに及ぶ道のりを無言で行進します。悪態をつく祭りが生まれたのは江戸時代中期、重い年貢に苦しむ農民の鬱憤(うっぷん)を晴らすため、という説があるそうです。開催は旧暦11月14日(12月中旬ごろ)。
このほか、アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」でも話題になった手作りロケットを打ち上げる「龍勢祭」(埼玉県秩父市)や、張り子の鍋をかぶった少女8名が渡御する「鍋冠まつり」など、奇祭は日本全国に存在しています。 全国的な傾向として、裸祭は2~3月に多いようです。今年は旅先で一風変わった「奇祭」に参加してみてはいかがでしょうか。 (中道薫/ノオト)