65歳以降も「年金受給」しながら働きたいのですが、パート収入が月に10万円を超えても問題ないですか……?
65歳を超えても働きたいと考え、年金を受け取りながらパートの仕事での収入で稼ぐ方も珍しくありません。しかし、パートで稼ぎすぎると税金などお金の面で損をしたりしないか心配になる方もいるようです。 そこで「パートで月収10万円以上稼ぎたい」という方の話を例に、月に10万円を超えるパートをしても年金に影響はないのか考えていきます。
在職老齢年金との関係性
最初に思いつくのは、在職老齢年金の存在です。在職老齢年金とは、老齢厚生年金と給与の合計額が月に48万円を超えると超えた金額の半分が年金額より支給停止される、という仕組みです。 これについては、フルタイムでパートをするような状況でもない限り気にする必要はないでしょう。 厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、老齢厚生年金の受給月額は、平均14万6000円程度となっています。パートであれば、時給1000円でフルタイムにて働いたとしても月収16万円(1日の実労働8時間、月に20日就労するとして試算)です。 老齢厚生年金と給与の合計は30万6000円程度となり、48万円を超えることはありません。基本的にパートで働く場合は、年金について気にする必要はないでしょう。
所得税や住民税が増える
パートで得た収入は給与所得に当たります。そのため、パート収入が年間103万円を超えてしまうと、所得税が発生してしまいます。 加えて、子どもの扶養(いわゆる税制上の扶養)に入っている場合、その扶養から抜けてしまい、子どもの税金が増えてしまうことにもなります。そのため、扶養に入りつづけたい場合、パート収入の一つの目安は年間103万円です。月額に換算すると、8万5833円です。 また、配偶者の扶養に入り、配偶者控除の適用を受ける場合、年金の額が年間110万円を超えていると、公的年金等控除額と呼ばれる控除の範囲を超えてしまい、その分パート収入によって稼ぐことのできる額が小さくなります。この点は少々複雑ですので、詳細は最寄りの税務署へ相談してください。 なお、年収を103万円以下に抑えていたとしても、住民税は発生する可能性があります。東京都中野区の例でいえば、年収100万円以下であれば住民税がかからないようになっています。 ただし、住民税の非課税となるラインは自治体によって異なることもあるようです。必ず住んでいる自治体に確認してください。「自身に所得税や住民税を極力発生させないように」と考えるのであれば、パートでの収入は年間100万円以下に抑えておくべきでしょう。 いずれにせよ毎月10万円以上稼ぐと、自身や、扶養に入れてくれている配偶者または子の所得税や住民税が増えることになる、という点に気を付けてください。