「老いても口からごはんを食べたい!」鼻チューブ・胃ろう以外の選択肢「OE法」とは?
2015年に厚生労働省が出した統計によれば、日本人が亡くなった場所は病院、自宅の次に、「介護施設」が多くなっている。治療に特化した病院でもなく、住み慣れた自宅でもない「介護施設」で亡くなるとはどういうことなのか。 【漫画】くも膜下出血で倒れた夫を介護しながら高齢義母と同居する50代女性のリアル 介護アドバイザーとして活躍し、介護施設で看・介護部長も務めた筆者が、終末期の入居者や家族の実例を交えながら介護施設の舞台裏を語る『生活支援の場のターミナルケア 介護施設で死ぬということ』(髙口光子著)より、介護施設の実態に迫っていこう。 『生活支援の場のターミナルケア 介護施設で死ぬということ』連載第21回 『「鼻に鉛筆を挿すのと同じ痛み」…「口から食べられなくなった」先にある『チューブ』につながれた生活』より続く
新しい経管摂取の方法
「鼻腔栄養」と「胃瘻」の2つの方法に対して、口から食べること(経口摂取)にこだわり、最後までチューブは入れないという、もうひとつの選択肢があります。この場合は食べる楽しみは残りますが、十分な栄養が補給できず、ときに急激に衰弱する場合があります。 さらに、経口摂取には誤嚥性肺炎のリスクが大きくついてきます。物を飲み下す力が弱くなると、食べ物や飲み物が誤って気管に入る誤嚥が起きやすくなります。誤嚥性肺炎とは、食べ物や唾液が気管から肺に入り込んだために起こる肺炎で、高齢者にとっては命とりになることも少なくありません。 ちなみに、鼻腔栄養も胃瘻も、肺炎のリスクがないわけではありません。口の中の唾液を誤嚥したり、逆流してきた胃液などが気管に入ったりすることが原因で誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。確率としては、経口摂取、鼻腔栄養、胃瘻の順に高いです。 これらの方法に加えて、最近ではOE法という経管摂取の方法も注目されています。これは食事のときだけ口からチューブを飲み込んで先端を食道まで挿入し、そのチューブを通して栄養剤を注入。終わったらチューブを抜くという方法です。
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