2024年の後継者難倒産、10月までに455件 増勢ペースは加速 代表者の死亡など「不測の事態」に対応できないケース目立つ
全国「後継者不在率」動向調査(2024年)
2024年1-10月に発生した、後継者がいないことで事業継続が困難になった「後継者難倒産」(負債1000万円以上、法的整理)は455件となった。過去最多だった2023年・564件とほぼ同水準(前年同期比1.7%減)で推移したものの、月次ベースでは2024年10月に過去最多の63件を記録するなど増勢ペースは加速している。通年では、2年連続で500件を上回る高水準での推移が見込まれる。 後継者の選定・育成ができないまま代表者が活動できなくなるといった「不測の事態」に対応しきれず、事業継続を断念したケースが近時は目立っている。2024年の後継者難倒産のうち、代表者の病気または死亡により、事業が立ち行かなくなり倒産に至ったケースは189件に上り、全体の4割を超える水準で推移している。 足元では、当代限りで廃業するといった決断を下す事業者も多い。日本政策金融公庫の調査 では、後継者が決まっておらず、「自分の代で事業をやめるつもりでいる」とした企業が、2023年調査時点で57.4%に達した。2015年(50.0%)から大幅に上昇しており、同公庫は「中小企業が次々に廃業していくという問題は、より深刻化しているということができるだろう」と分析している。 団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」が目前に迫るなか、代表者が70代の後継者不在率は依然として約3割に近い水準で推移している。ゼロベースからの事業承継には、一般に最長10年程度の準備期間が必要とされるなかで、仮に70代から事業承継に着手したとしても、代表者の病気・死亡により後継者育成に支障をきたすリスクは非常に高い。代表者が高齢で後継者がいない、円滑な事業承継が進まない企業を中心に、後継者難倒産が今後も発生する可能性が高い。