会社が2つに分かれたとき「商標の承継」が運命を分けた 国内トップのオンライン商標登録サービス企業に聞く、その重要性は
◆「商標」の承継で失敗した2つの企業
――知財の保護は、企業にどのような好影響を与えるのでしょうか。 二つの事例を紹介します。 一つは特定の地域で有名運送会社が事業承継をする際に、企業が二つに分かれたケースがありました。 その際、屋号を商標登録していなかったことが発覚し、事業を引き継いだ家族側が社名を引き継げなかったのです。 もう一つは、地方にある寝具店の事業承継です。 事業を分割する際、片方だけが商標登録を行ったことで、もう一方が屋号や商品名を使用できなくなる事例がありました。 どちらも、事業承継における「商標」の失敗例です。 今まで築いてきたブランド価値を失ってしまったのです。 ――事業承継において、どのようなサポートを行っているのでしょうか? 企業や商品のブランド価値を保護することは、事業を永続的に続けて行くために非常に大切です。 コトボックスでは、中小企業に対して知財に対するリテラシー向上を含めたサービスを展開しています。 経営者が抱えている問題を、知財の面からしっかりとサポートしています。
◆世界中で高まる「商標」への関心
――一方、大企業向けにも知的財産に関するサービスを展開されていると聞きました。 昨年、コトボックスは大企業向けに商標管理クラウドサービスをスタートしました。 このサービスは、大企業による膨大な商標の管理を効率化するためのものです。 商標の出願や登録だけでなく、維持管理などに関わる手間やコストを最小限に抑えることができます。 国内や外国の主要国だけでなく、発展途上国も含めた商標登録や更新手続きを効率的に行うことができます。 ――今後の展開を教えてください。 キーワードは、グローバル化だと思います。 世界中で知的財産を巡る関心は高まっています。 日本国内だけでなく、サービスを多言語化することで、他国の企業も利用できるようなプロダクトを進めています。 数年後には、日本だけでなく、世界中の知的財産を管理するプラットフォームへと成長させていきます。 グローバル化が進む中、こうしたプラットフォームの必要性がさらに増していくと予測しています。
■企業プロフィール
2016年創業。「人と知財を結ぶ。」をミッションとして掲げ、知財を誰もが平等に取り扱える社会を目指し、独自開発のAI技術により最短3分で商標登録出願の準備ができる商標登録サービス「Cotobox(コトボックス)」を展開。利用企業者数は2023年10月時点で5万社を突破。特許庁に出願されている商標のうち約4%が「コトボックス」と提携する複数の事務所を経由しており、シェア率ナンバーワンを誇る。