那須川天心1000万円企画の青木真也“ドタキャン”に「茶番だ!」と批判の声
AbemaTVの開局3周年番組「那須川天心にボクシングで勝ったら1000万円」への挑戦者を決める挑戦者決定トーナメントが1日、新宿フェイスで一般客シャットアウトの中で行われ4時間に及び生放送された。注目は「異種格闘技部門」の出場予定だった総合格闘技「ONE」のライト級王者、青木真也(35)だったが、突然、欠場をリング上で発表。代役としてアウトサイダー王者で放送作家の大井洋一(41)を連れてきて、その大井が挑戦権をゲットしたが、ネット上では、ファンや視聴者から批判の声が多数あがった。 「異種格闘技部門」は、バラエティそのもので、3選手は放送席にいた那須川天心(20、TARGET/Cygames)が本気で相手をすれば怪我をさせるようなレベル。「ボクシング経験者部門」では、元WBA世界スーパーフライ級王者のテーパリット・ジョージム(30、タイ)ら元プロボクサーら3人が揃ったが“引退ボクサー”の練習不足、体力不足は顕著で、現在、大阪で「天満橋ボクシングジム」を経営しており最も現役に近い運動能力のあった同志社大出身の元アマチュアボクサー、藤崎美樹(29)が勝ち抜いた。解説を務めた元WBAスーパーフェザー級王者の内山高志氏は、番組内で挑戦権を得た2人に対して「このままでは1000万円はとれない。ここからの練習が必要」と苦言を呈していた。
青木のドタキャンに怒りの声
視聴者から怒りの声が届くのも無理はない。 「異種格闘技部門」の目玉として“煽り映像”で挑発発言を繰り返してきた青木が、おなじみのテーマ曲「バカサバイバー」で登場したところまでは良かったが、試合スタイルに着替えておらず、傍らにバンテージを巻いたもう一人のファイターを伴ってリングイン。 マイクを持つと、いつものかすれた声で「試合が近いので、くんずほぐれずできなくなりました」と欠場を発表、代役として連れてきた大井を紹介した。 青木は17日にシンガポールで開催される「ONE」で、先日、日本大会で奪還したベルトの防衛戦を行うため日程的に問題があり今回の大会をキャンセルした。だが、当初からある程度日程はわかっていることで挑戦者決定トーナメントの目玉として煽っておきながら、ドタキャンされては、ファンの書き込みで「詐欺だ」「茶番だ」という声が出るのも無理はなかった。 オーディションに参加していない大井が青木の推薦で出場するのもオーディションを落ちた応募者の心情を考えれば筋が通っていない。しかも、青木のドタキャン発表は、その4試合目まで伏せられ、視聴者は、2時間以上も知らされることがなかった。今回の応募者に関しては、運営側がいくつかの“仕込み”を行っていたことが判明している。このドタキャンの責任が、青木本人にあるかどうかはハッキリとわからない。いずれにしろ一番の責任は運営側にある。地上波ならば大問題に発展していただろう。 加えて「異種格闘技部門」の出場メンバーのボクシングレベルも酷かった。GACKTの事務所の社員で、運転手&付き人を務める田中涼は、これまでGACKT流のテコンドーの手ほどきを受けてきたというが、ボクシング技術はなく、前に出る根性勝負。対する日本一の登録数を誇るユーチューバー「はじめしゃちょー」の“部下最強”というふれ込みのけんすけは、ラグビー出身で体力はあったが、こちらもボクシングジムに付け焼刃で数日間入門しただけという素人で、試合は、案の定、グダグダの素人の喧嘩もどきになった。もし青木が参加して彼らと本気で殴り合ったら怪我をしていたのかもしれない。 青木の代役の大井は、ボクシング技術はないが、総合格闘技をやっているのでストライカーの基本技術と体力はあった。キック経験者で18歳の山崎尚英をボコボコにしてのKO勝利。それでも、その試合で右足のふくらはぎに肉離れを起こしたためGACKTの“愛弟子”との決勝戦ではテーピングをした足をひきずりながら試合をしていた。手数と圧力で田中をグロッキーさせて、2試合連続でKO勝利したが、解説の内山氏もボクシング技術については語りようがなく「気持ちが強い」としか言えず苦心していた。 選手、それぞれのサイドストーリーをVTRで紹介するのが、メイン仕立ての完全なバラエティ。ゲストの天心が何度も笑いを浮かべるほどで、オーディションに参加しながらも辞退した元OPBF東洋太平洋、元IBFアジア(JBC非公認)、元日本スーパーウェルター級王者の細川貴之氏は、「完璧なバラエティじゃないですか。出場しなくて正解ですよ。異種格闘技の方のメンバーのボクシングレベルはなんなんですか。聞くところによると、天心はボクシングでもかなり強いらしいんですが、青木の代役に勝っても、ボクシングでも強い!と世間に認めてもらえないですよ」と、唖然としていた。 ネット上には番組に対して厳しい批判の声があふれた。 「こういう企画は引退した選手でやって欲しい」 「この番組って誰が得するんだろう?出演選手の誰一人として得をしない」 「全くつまらない企画」 「天心は好きだけれど、こんな茶番は見たくない。天心のボクシングを見れるなら本気のボクシングを見てみたい」 「アベマさんの思惑が見えたのでしらけた。格闘技をこよなく愛するものとして、ボクシングを愚弄するような企画はやめてほしい」 一方で、「天心は日本の格闘技界をもっと盛り上げたいと考えている。これは、その手段の一つ」という好意的な見方もあったが、「こんな企画に引っ張りだされる天心が可哀そう」「安っぽい企画に出る必要はなかった」という意見がほとんどを占めた。 確かに大晦日の元世界5階級王者、フロイド・メイウェザーとのボクシングルールによるエキシビションマッチで無残にKOされながらも世界的な知名度を上げた天心にとって、こんな“バラエティショー”に振り回されることは格闘家としてはプラスにならない。