那須川天心1000万円企画の青木真也“ドタキャン”に「茶番だ!」と批判の声
ただ「ボクシング経験者部門」の参加者は「異種格闘技部門」の茶番劇とは違い技術はあった。だが、いかんせん決勝へ進んだ元西日本新人王の村井勇希も世界挑戦経験のある戎岡淳一も39歳と38歳である。練習不足、体力不足が顕著で2分×3ラウンドのルールに救われて、まだ持ったが、スピード、パワー共に物足りなかった。 亀田大毅や名城信男を破った元世界王者のテーパリットは5キロの減量をして本気で挑んできたが、同志社大時代に関西リーグでMVP獲得経験のある藤崎は、その事実上の決勝戦で、14オンスの大きなグローブの利点と、長いリーチを存分に生かしバックステップをうまく使い距離を取って戦った。打ち終わりに右のカウンターを決め、接近戦ではアッパーを打ち込むなど攻撃的に前に出てきたテーパリットに強弱をつけてパンチを合わせ、さばききった。この試合に関していえばボクシングのレベルはキープされていた。 「プロで活躍していないしアマでも結果を出していないけど、普段から動いていたのも勝因。現役を離れ指導者として人に教えることでボクシングの幅が増えた」「このルールなので距離に徹してパンチもらわないように明確に当てて3ラウンドやった」とは本人の勝因分析。 14オンスの大きいグローブで、ヘッドギアを着用するルールでは、スピードもパンチ力も、そう生かせない。KOの可能性もほとんどないため距離を取って遠くからカウンターを軸に突き放すようにパンチを当てる戦い方ができると有利になる。 インテリボクサーらしい戦略だったが、もし、このルールが5月18日に開催される本番の天心戦でも採用されるならば、パンチはない藤崎には適しているのかもしれない。 オーディションで落とされたフリーランスボクサーの中村優也は「ヘッドギアをつけ14オンスのソフトグローブだと、天心はスピードを生かせない。逆に藤崎さんが無理に倒しにいかず距離をとってボクシングをすれば技術で圧倒できる。判定なら藤崎さんの勝ちは十分にある」と、再度、藤崎を推していた。 藤崎は天心戦に向けて「まだ実感はない。ちょっと考えます。格闘家としても芸能人としても大ファンで、年下だけど尊敬している。格闘技をやってきてよかった」と意気込みを語った。 一方の天心は、番組内では終始“大人の対応”で「自分自身やるべきことをやるだけ。次の試合が決まっているので怪我なく終わらせたい」と語っていた。6月には「RIZIN.16」でISKAの世界王者との“3冠”戦、7月にはRISEのトーナメント準決勝が控えている。 ある意味、AbmenaTVに“いいように使われている”天心も、この企画の被害者なのかもしれない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)