「『霊媒師JUN』の予言を聞いて、呪いを解くには殺すしかないと思った」宮城県・柴田町殺人事件で被告男女が語った驚愕の殺害動機
「売春・美人局グループ」形成の経緯
キーマンは、殺害された隆一さんの元妻で、直哉被告の実母のAさんだった。敦子被告の現在の夫・保彰(逮捕時31、美人局詐欺で有罪判決)の実母でもある。検察側冒頭陳述によれば、敦子被告とAさんはパチスロを介して知り合い、親密になったが、敦子被告が「次第にAさんに因縁をつけ、金銭を要求し、金を巻き上げていた」という。他方、敦子被告はAさんの実子である直哉被告と保彰の面倒を見て手なずけていった。のちに敦子被告はその手なずけた兄弟のひとり、保彰と結婚したが、弟で殺人の実行犯である直哉被告とも肉体関係になる。 敦子被告は直哉被告や、実姉の市瀬恵美(美人局詐欺で有罪判決)も巻き込み売春を行ない、リピーターを標的にして美人局詐欺をするようになった。Aさんにも売春をさせ、売り上げが落ちると制裁を加えていたという。そのうち、敦子被告への借金返済に窮した元夫、松野新太とその妻、みき子(美人局詐欺や証拠隠滅でともに有罪判決)も加担するようになり、「敦子被告を頂点とする売春・美人局グループ」が形成されていった。
検察官によれば、直哉被告の実母Aさんがこのグループから抜けようと画策し、実際に抜けたことが、殺人事件の発端となったようだ。Aさんがグループから逃れるために金銭的な援助をしたのが、のちに殺害される隆一さんだった。 「犯罪の発覚を阻止するため、そしてAさんに手を貸したことへの制裁、さらに遺産獲得のため、敦子被告は隆一さん殺害を決意した」(検察側冒頭陳述) そして敦子被告は、架空のLINEアカウント「霊媒師JUN」を作成。霊媒師になりすまし、直哉被告に接触したのだという。
「霊媒師JUN」の予言
「霊媒師JUN」から「敦子に呪いがかけられている」と言われた直哉被告は、「隆一さんを殺害することで呪いを解くとともに、美人局事件の証拠を持っているかもしれない隆一さんを殺して今後も愛する家族らと過ごしたい、と考えた。Aさんはすでに逃走しており、殺害が困難であることから実父の隆一さん殺害を決意した」(検察側冒頭陳述)という。 直哉被告の弁護人による冒頭陳述では「霊媒師JUN」のより詳細な“予言”が明らかにされた。 「直哉被告は、事件の数年前にLINEで知り合った『霊媒師JUN』の予言や、霊的能力などを信じ、絶対的な信頼を寄せていた。2023年1月ごろに『霊媒師JUN』から『敦子が、実母Aと隆一さんを含む“呪いの集団”から、呪いをかけられ、敦子の脳梗塞の症状を悪化させ、死亡させられる』と言われた。翌月には『隆一さんも“呪いの集団”に入っている』と『霊媒師JUN』から聞き、殺害を実行した」(直哉被告弁護人の冒頭陳述)
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