ビットコイン価格は上昇も、個人投資家の動きは低調なまま
暗号資産(仮想通貨)業界における最大の論点の1つは、個人投資家が現在の価格上昇に参加しているかどうかという点だ。個人投資家の参加はユーフォリア(陶酔感)や貪欲の兆候を示すことが多く、場合によっては相場のピークの先行指標になると考えられている。 本記事では、ビットコイン(BTC)が史上最高値の15%圏内まで上昇するなか、個人投資家の動きが何を示しているのかを探る。
コインベースアプリのランキング
個人投資家の参加の重要な指標の1つは、暗号資産取引所コインベース(Coinbase)のアプリが、アプリストアのダウンロード数においてどこに位置しているかを確認することだ。 Xアカウント「@CoinbaseAppRankBot」によると、2017年と2021年の強気相場では、ピーク付近でコインベースはダウンロード数1位のアプリとなり、今年3月のビットコインの相場ピーク時には5位にランクインした。 コインベースは現在438位で、今年最低の約500位とさほど離れておらず、個人投資家の関心が引き続き欠如していることを示している。
オンチェーンデータ
過去155日以内にビットコインを購入した投資家は、短期保有者(STH)とみなされる。 この層は市場を追いかけ、価格が上昇し始めると購入することが多く、歴史的にはピークはSTHの多さと相関する傾向がある。実際、過去10年以上におけるビットコインの主要な5つのピークは、STH量のピークと一致している。だが、今回の上昇は、STH量の減少と同時に起きており、現時点ではピークが来ていないことを示唆している。
送金額
送金額を規模別に見ると、10万ドル(約1440万円、1ドル144円換算)未満は一般的に個人投資家、10万ドルを超えると機関投資家とみなされる。 過去3回の強気相場を分析すると、個人投資家の取引量のピークは通常、強気相場のピークと一致する。現在、個人投資家の総送金額は2024年のピーク時の約半分に過ぎない。 分析会社グラスノード(Glassnode)のデータでも、ビットコインの手数料はサイクルの最低水準にあり、1日あたりおよそ50万ドル(約7200万円)しか発生していない。アクティブアドレスは365日移動平均を下回っており、これは日常的なアクティブユーザーの不足を示している。