葛原の「舞妓」など49点 小郡文化資料館30周年企画展【山口】
山口市の小郡文化資料館で、開館30周年記念企画展「葛原輝-その軌跡とまなざし」が開かれている。小郡出身の日本画家、葛原(1915~2015年)が生涯のテーマとした「舞妓(まいこ)」や風景を描いた作品、関連資料合わせて49点が来場者を魅了している。 葛原は旧小郡町に出生。父・猪平は冷凍食品流通事業の祖として知られる。2歳まで小郡で過ごした後、東京に移住。戦後、日本画家の伊東深水に師事した。48年に日展で初入選し、以後15回入選。浮世絵の系譜を継ぐ日本美人画の第一人者と言われ、女流画家では唯一の存在という。 展示では、初期から晩年に描いた舞妓の作品を並べた。初期作品は縦45㌢、横50㌢の写実的な作風。縦21・5㌢、横15㌢の晩年作品は、デフォルメされてつぶらな目や広い額を持つ「葛原式美人画」の世界が感じられる。 シベリア鉄道で旅行したときの風景を描いた連作や雑誌を読む少女を描いた大作「をとめ」(縦110㌢、横118㌢)などもある。葛原が友人に贈ったはがきも見どころ。作品ではあまり見られないカマキリなど昆虫が描かれている。 展示を担当する森美沙さん(33)は「小郡ではあまり知られていないが、関東では絶大な人気があった葛原を知る良い機会にしてほしい」と来場を呼び掛けている。 94年9月30日に開館した同館ではさまざまな記念イベントを実施中。もう一つの特別企画展として、鉄道敷設の歴史に焦点を当てた「機関車は俺たちが走らせる!技術者たちの挑戦」も開催している。 期間はいずれも22日まで。時間は午前9時~午後5時(入館は4時半)。月曜休館。