パリパラリンピックが開幕間近、選手村もバリアフリー仕様に
パリパラリンピックが8月28日(現地時間)に開幕する。開会式の舞台は、パリ中心部のコンコルド広場で、選手はシャンゼリゼ通りをパレードしながら入場する。選手村はもともとユニバーサルデザインで設計されたが、五輪終了後、さらにバリアフリー化を進めた。(オルタナ副編集長=吉田広子) 「パリ大会の選手村は、過去の大会で選手として滞在していた際に不便に感じていたことをすべて解消した」 こう自信をのぞかせるのは、パラ水泳金メダリストで、パリ2024のパラリンピック統合責任者であるリュディヴィーヌ・ロワゾー氏だ。 パリ市は、オリンピック・パラリンピックを前に、数年かけて、市全体のアクセシビリティ(利用しやすさ)向上に取り組んできた。アクセシビリティとは、障がいの有無にかかわらず、だれにとっても利用しやすい環境のことだ。 当事者や支援団体などと対話しながら、道路の修復を進めたほか、信号機やバス停などの音声案内を拡充した。給水機は、車イス利用者や盲導犬、介助犬が利用しやすいように高さを調整した。
■ 車イスや義足などの修理センターも
パリオリンピックの開会式では、アクセシビリティに配慮したさまざまな取り組みが行われた。車イス利用者や歩行困難者のための専用エリアが設けられたほか、視覚障がい者向けに音声ナビゲーションや、触覚を活用して空間認識を行うための地図「触地図」が用意された。スクリーンに映し出される全ての映像には字幕が付けられ、手話通訳による同時通訳も行われた。 選手村も、もともとユニバーサルデザインの観点で、公共スペースや道路、歩道などはすべて、車イス利用者が通行しやすいように設計された。五輪終了後は、パラ選手のためにさらなるバリアフリー化を進めた。 選手村全体にスロープを設置したほか、居住エリアやアパートメントから段差をなくした。トイレは広いスペースを用意し、シャワーには車イスから移動しやすいようにイスを設置した。さまざまな障がいがあるアスリートが使いやすいように、コンセントは床から45センチメートルの高さに設置したという。 メイン食堂では、車イスでも動きやすいようにイスの数を減らしてスペースを確保。ビュッフェカウンターは適切な高さに設定した。アスリートが食事を運ぶためのトレーは、滑りにくい素材を採用し、トレーの移動を楽にするためのカートも用意した。 車イスや義肢、装具の修理センターは、24時間体制で、修理や調整を受け付ける。 パリパラリンピックは、8月28日から9月8日まで開催され、22競技549種目で熱戦が繰り広げられる。世界から約4400人のアスリートが集結する予定で、日本からは175選手が参加する。