「将来返せる自信がないから」と奨学金を2年で打ち切った大学生の娘。足りない分はアルバイトを増やしているらしいのですが、実際に返済できない人はどれくらいいるのでしょうか?
大学へ通うため、奨学金を借りる学生もいるでしょう。奨学金は卒業後に返済が必要なので、将来返済できるのか不安に思うこともあるかもしれません。返済の負担を考慮して、早めに奨学金を打ち切るケースもあります。 奨学金を返済できないときは、なるべく早く対応が必要です。今回は、奨学金を返済できない方の割合や返済できないときの対応などについてご紹介します。 ▼「大学無償化制度」の対象者とは? 年収要件や注意点を解説
奨学金を返済できない人はどれくらい?
独立行政法人日本学生支援機構の「令和3年度奨学金の返還者に関する属性調査結果」によると、調査時点で延滞をしていない方の中で、返済開始から調査時点までの間に返済を延滞した経験がある方は21.5%でした。さらに、調査時点で延滞している方になぜ返済できていないのかを聞いたところ「本人の低所得」が63.8%と最も多い結果です。 調査時点で延滞をしていない方でも20%以上の方が延滞経験のあることから、実際にはさらに多くの方が奨学金を返済できていないと考えられます。また、所得を理由に返済できていない方も多く、将来返せない可能性を考慮して途中で打ち切ることは、延滞を予防する手段として有効といえるでしょう。 なお、令和3年度末の調査時点で延滞中の方は12万8000人ほどいたとことで、全体の2.7%に当たるようです。奨学金の返済ができない人は珍しくないことが分かります。
奨学金を返済できないとどうなる?
奨学金を返済できず、支払期日を過ぎてしまうと延滞金の対象になる可能性があります。利息付きの第二種奨学金の返済を延滞したときの流れは以下の通りです。 1:利息を除く延滞している奨学金額に対して年3%の割合で、返済期日の翌日から延滞している日数に応じて延滞金が課される 2:機構が委託している債権回収会社などから電話で本人や保証人、連帯保証人へ返還の督促が行われる 3:返済に応じない場合は、債権回収会社が本人や保証人、連帯保証人から奨学金の回収を行う 4:返済開始から6ヶ月経過したあとに3ヶ月以上延滞していると、個人信用情報機関へ個人情報登録の対象となる 5:督促にも応じず返済しないときは返済期日がきていない分を含めた返済未済額(利息、延滞金を含む)の一括返済が求められる それでも返済しない場合は、保証機関が一度返済額を立て替えたあと本人へお金を請求する形となります。保証機関からの請求も無視し続けると法的措置で強制執行の対象となり、差し押さえをされるケースもあります。 奨学金が返済できないときに、払えないからといって督促を無視し続けると最終的に財産を差し押さえられる場合もあるため、無視はやめた方がいいでしょう。支払えそうにないと分かった時点で機構へ相談するなどの対処が必要です。