KDDI、都心で5Gのフルパワー発揮へ 他キャリアにない強みは?
KDDIは14日、5GのSub6帯エリアを拡大する計画を実施し、2024年5月末までにSub6エリアを関東地方で2.8倍、全国で1.5倍に拡大したと発表した。 【画像】基地局出力アップ後の通信速度 Sub6エリアでは300Mbps超の通信が可能で、実測値として従来の4G LTE転用の5Gエリアと比較して下り通信速度が約3倍に向上したとする。 Sub6帯は5Gの開始に伴って割り当てられた新周波数帯で、KDDIは3.7GHz帯と4.0GHz帯を保有している。4Gの既存周波数帯を転用した5Gと対比して、「真の5G」と呼称されることもある。
高速化の鍵は「衛星干渉」の改善
KDDIが今回行ったSub6帯5Gの高速化には、5Gのポテンシャルを引き出す可能性がある。 KDDIが割り当てられたSub6周波数帯には、本来の性能を100%発揮できない制約があった。その要因は「衛星干渉」だ。人工衛星の受信帯域として使われているため、人工衛星の地球局の周辺では衛星のへの影響が出ないように、出力を落として制御を行っていた。 衛星地上局は東名阪地域に多く立地していたため、需要が多い都市部で出力を落とした運用をしていた。局によってはアンテナの角度を本来よりも下向きに設定していることもあった。 この制約は衛星地上局の移転が進んで、2023年3月末になくなった。そこでKDDIは3月から5月にかけて、出力を落としていた基地局の性能最大化を進めた。 出力向上の結果、5G Sub6帯のカバーエリアは約2倍に拡大。アンテナ角度を上向きにする制御によって、さらに2倍に向上した。カバーエリアとしては100mメッシュ(100m四方に区切った面積)で調整前は4.3万メッシュだったところ、アンテナ角度の最適化後は12.2万メッシュまで広がったとしている。 さらに、レイテンシ(応答速度)の改善も見込めるという。例えば対戦ゲームでは30msecが確保できれば安定したプレイができ、20msecaあれば快適という。KDDIはレイテンシでソフトバンクに遅れを取っていたが、出力向上によりレイテンシ20msec以内のエリアが拡大し、5Gエリアのうち75%で20msec以内を実現できたとしている。