ECB、消えない0.5ポイント利下げの臆測-12月はないが来年に可能性
(ブルームバーグ): 投資家やエコノミストは、欧州中央銀行(ECB)が今後数カ月のある時点で大幅な利下げを実施するのではないかという臆測をなかなか捨て切れないでいる。
大半の当局者が「段階的」な0.25ポイント刻みの利下げを支持しているにもかかわらず、トレーダーは今後3回の会合のうち1回で0.5ポイント利下げが行われる可能性を排除していない。
トレーダーはユーロ圏の経済活動の縮小を示す調査結果などに注目している。フランス中銀のビルロワドガロー総裁のような影響力のある当局者が0.5ポイント利下げを排除しない姿勢を示したことも、市場の観測を誘った。
バークレイズの経済調査責任者、クリスチャン・ケラー氏は12月の政策決定について「たとえ市場がまだ可能性を織り込んでいるとしても、私は12月の0.5ポイント利下げをほぼ除外しても構わないと考えている」と述べた。
11日、12日両日の政策委員会で、0.5ポイント利下げは少なくとも議論はされる見通し。ラトビア中銀のカザークス総裁は先週「依然として非常に高い」不確実性について警告しつつも、0.5ポイント利下げの「問題は間違いなく議論されるだろう」と述べた。
そうした議論が行われるのは、欧州経済が低迷しているためだ。購買担当者指数(PMI)は民間部門の活動の弱さを示している。ドイツとフランスの政府崩壊も欧州の景気見通しに暗雲だ。
ほとんどのアナリストは12月の0.25ポイント利下げを見込んでいる。ただ、JPモルガン・チェースだけが0.5ポイント利下げを予想している。
最もハト派的な政策委員会メンバーも、大幅利下げについてあまり声高に主張していない。しかしそれでも、トレーダーはそのようなシナリオを想定してポジションを構築するのをやめない。
「来年3月までにはディスインフレのプロセスが十分に前進し、政策委員会がよりフォワードルッキングになり、大幅な利下げが容易になるはずだ」とSEBのチーフストラテジスト、ユッシ・ヒルヤネン氏は述べた。