正社員で働き産休を取る予定です。いろいろな手当がもらえると聞きましたが、どんなものがありますか? 手続きはどうするのですか?
妊娠中から出産後にかけては、体調不良や出産育児にともなう収入減少の不安が付き物です。もらえる手当は最大限活用して、産前産後を乗り切りたいと考える人は多いでしょう。 正社員として健康保険や雇用保険に加入している人は、産前産後の期間にさまざまな手当を受給できます。本記事では、申請ルート別に主な手当の概要をまとめました。 ▼「3人目3万円」に思わぬ落とし穴! 2024年12月に前倒しになった「児童手当拡充」の注意点
【勤務先を通じて手続き】妊娠中の傷病手当金・出産手当金・育児休業給付
正社員として働きながら妊娠期間をすごしたのち、産休・育休を取得する人が利用できる手当のうち、勤めている会社を通じて受給の申請手続きができる主なものは次の3種類です。 ・傷病手当金 ・出産手当金 ・育児休業給付金 それぞれの手当の趣旨や内容、利用できるタイミング、申請方法などを、以下で簡単に紹介します。 ■傷病手当金 傷病手当金は、病気やけがで会社を休業した際に、本人や家族の生活を保障するために健康保険から支給される手当です。病気やけがで働けなくなり、療養のために4日以上休業すると、4日目から給料のおよそ3分の2の金額を受給できます。 妊娠にともなう重度なつわりや切迫早産などの症状で会社を休み、通院や入院をする場合などにも傷病手当金は申請可能です。受給を希望する場合は、傷病手当金支給申請書を記入し、事業主、医師の証明を受けて保険者に提出しましょう。申請書は自身で提出することもできますが、会社に書類を提出し会社を通じて保険者に申請を出すのが一般的です。 ■出産手当金 出産手当金は、産前産後休暇を取得して会社からの給与が支給されない期間に、本人や家族の生活の保障を目的として健康保険から支給される手当です。出産の日(予定日)以前42日目(多胎妊娠は98日目)から出産日翌日以降56日目までの範囲で、会社を休業した期間に、給料のおよそ3分の2の金額を受給できます。 申請する場合は健康保険出産手当金支給申請書を記入し、出産する医療機関と勤務先に証明欄を埋めてもらい、保険者に提出しましょう。提出は自分でもできますが、会社に提出し会社を介して申請するのが一般的です。 なお、妊娠中の体調不良などで万が一退職せざるを得なくなった場合も、次の条件を満たしていれば出産手当金を受給できます。 ・健康保険の被保険者資格を喪失した日の前日(退職日)までに、1年以上継続して被保険者である(任意加入期間を除く) ・資格喪失日前日に出勤していない ・資格喪失日の前日が出産手当金の請求可能期間である ■育児休業給付 育児休業給付とは、1歳未満の子どもの養育のために育児休業を取得した際に、雇用保険から支給される給付金です。次の条件を満たす場合に、原則として子どもが1歳になるまで(延長時は最長2歳になるまで)の期間、育休開始前の賃金日額の50~67%が受給できます。 ・育児休業開始日前2年間に11日以上働いた完全月が12ヶ月以上ある ・育児休業期間中に毎月、休業開始前の賃金月額の8割以上が支払われていない ・就業日数が支給単位期間(1ヶ月)ごとに10日以下(または80時間以下)である 育休手当を取得する際は、育児を行っている事実を証明できる母子手帳などの書類を会社に提出し、会社を介してハローワークに申請しましょう。