【高校野球】メインのノッカーを担当した横浜翠陵高の女子部員 「忙しかったですが、楽しかったです!!」
何度もマメがつぶれるほど猛練習
県大会でのノッカーデビューは、昨秋の1回戦(鶴見大付高)だった。試合は6対9で初戦敗退。田中監督は回想する。 「8失策と守備が乱れたんです。試合後、高柳はずっと泣いていました。自身のノックのせいであると、責任を感じていたそうです。そんなことはないんですが……」 冬場はより一層、力を入れてノッカー技術を磨いた。何度もマメがつぶれた両手は、固まっていた。迎えた今春の県大会。「昨秋よりも落ち着いてできました」。1回戦、2回戦と無難にこなした。2回戦ではシートノック後、ユニフォームから制服に着替え、記録員としてベンチ入り(1回戦は山本マネジャーが記録員)。試合は0対14の5回コールドで敗退。大差はついたが、内、外野とも好守備を披露。昨秋からのレベルアップを印象づけた。言うまでもなく、高柳のノックの賜物だ。 「忙しかったですが、楽しかったです!!」 春の敗退で、残すは夏の神奈川大会となった。ここで負ければ、高校野球生活の引退である。目指すは「ベスト32」。横浜翠陵高は2013年から夏の選手権地方大会に参加し、過去最高成績は15年の3回戦進出。初の大会複数勝利を挙げ、4回戦を目指している。 「私たち12期はマネジャー2人を含めて3年生13人。2年半、泣いたり、笑ったりして過ごしてきた仲間たちと、最後までグラウンドで戦いたいです」(高柳) 高校野球には、学校ごとに、かけがえのないドラマがある。2024年夏の集大成。横浜翠陵高の3年生13人は残された日々を後悔なく、中身の濃い時間を共有していく。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール