11月1日~自転車「スマホながら運転」厳罰化“酒気帯び”も処罰対象に…自転車運転者の意識は変わる?
自転車だから許されるだろうの甘えも
同調査では、「自転車だから許されるだろう」という認識の甘さがうかがえる結果も出ている。自転車の交通ルールの正誤の項目で、正答率は概ね8割前後だったが、顕著に誤回答が目立った問題に、それが表出していた。 「自転車は夜間ライトをつけなくてもよい」(「合っている」が3.8%)、「自転車は歩行者と対等なので、歩行者に道を譲らなくてよい」(同5.0%)、「自転車は原則として車道の右側を通行する」(同12.9%)「自転車の酒気帯び運転は禁止であるが、罰則はない」(同13.2%)。 この4問は歩行者との関係を考えても誤った認識で事故につながりかねないことばかりであり、危ない認識違いといえる。一方で、「自転車は車道通行が原則、歩道通行は例外」の正答率が8割を超えているのは、実状を考えると意外な印象だ。 これまでのマナー・ルール無視の運転と併せ、データや調査からも、やはり現状のままでは自転車が事故を起こすリスクが高い。そのような背景もあり道交法改正に至り、いよいよ11月から厳罰化が実施される。
ながらスマホで検挙された際の罰則
具体的には、自転車を運転しているとき・停止している間を除いてのスマホでの通話(ハンズフリーはOK)、画面の注視などの「ながらスマホ」は道交法により禁止され、罰則が強化される。画面の注視は手で持たず、自転車に取り付けた状態のスマホ画面でもNGとなる。 罰則の内容は現行5万円以下の罰金が、11月からは「ながらスマホ」をした場合、<6か月以下の懲役または10万円以下の罰金>、「ながら運転」で事故を起こすなど危険を生じさせた場合は、<1年以下の懲役又は30万円以下の罰金>が科される。 また、自転車の「酒気帯び運転」は、<3年以下の懲役または50万円以下の罰金>が科される。これまでは「酒酔い運転」のみだったが、新たに血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム以上または呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態で運転すると酒気帯び運転として処罰対象となる。 なお、自転車の飲酒運転の恐れのある者に酒類を提供したり、自転車を提供したりすることも禁止される。 今回の道路交通法改正では、「ながらスマホ」の罰則強化等に加え、自転車の交通違反に対し、反則金納付のいわゆる「青切符」が導入される。取り締まり対象は16歳以上で、適用の違反行為は113種類におよぶ。 自転車による交通事故は全交通事故の2割超を占める。加えて昨今は、電動アシストタイプや電動キックボードなど、路上には多様なタイプが入り乱れ、一部でマナー無視も目立っている。今回の道交法改正は、こうした”無法化”にメスを入れるものになるが、同時にこれを機に、自転車運転者側の意識のさらなるアップデートも必要となるだろう。
弁護士JP編集部